
女性の更年期障害に対する可視総合光線療法 1
一般財団法人光線研究所
研究員 柿沼規之
所 長 医学博士 黒田一明
女性はこ50歳前後で閉経を迎え、この閉経の時期をはさんだ前後10年間、一般的に45~55歳頃を更年期と呼びます。厚生労働省の意識調査によると40~55歳代の女性のうち約3~4割の女性は何らかの更年期症状が重く、日常生活に支障が出る可能性があると回答しており、本障害は身近なものであることが窺えます。
すべての女性が更年期障害に悩まされるわけではありませんが、様々な体の変化を実感する期間でもあるといえます。
今回は更年期障害の解説とともに可視総合光線療法の有用性と改善例を紹介します。
■更年期障害とは
更年期に入り卵巣機能が低下すると、女性ホルモンの分泌が減少します。それに伴い起こる不快な症状が重く日常生活に支障をきたしている状態を更年期障害といいます。近年、男性ホルモンの減少による男性の更年期障害も注目されるようになりましたが、女性の更年期障害を訴える方が圧倒的に多いといえます。
これら性ホルモンの減少とともに本人の性格や心理状態、職場や家庭における周囲の環境、人間関係などが複合的に関与することで個人差はありますが、人によっては時に深刻な症状となる場合も少なくありません。
■女性ホルモンの役割
女性ホルモンには2種類あり、エストロゲン(卵胞ホルモン)は女性らしい体型をつくり生殖器官を発育、妊娠に備えます。もう一つのプロゲステロン(黄体ホルモン)は基礎体温のコントロールや妊娠の維持という働きがあります。更年期障害に特に大きな影響を与えるのはエストロンといわれ、他にも次のような働きがあります。
○コレステロールを適正に保つ
エストロゲンがつくられる際に材料としてコレステロールが使われる
○骨を丈夫に保つ
コツを壊す破骨細胞が骨を新しく作る骨芽細胞の働きを上回らないようにコントロールする
○血管をしなやかに保つ
血管拡張物質、一酸化窒素(NO)の産生を促し血管の弾力を保つ
○肌のうるおい髪のツヤを保つ
コラーゲン産生を促す
○メンタルの安定を保つ
精神を阿南亭させる働きをもつセロトニンなど神経伝達物質の調整に関わり抗うつ作用がある
■更年期障害の症状
更年期障害の症状は、大きく3つに分けられます。
1.精神症状
不安感、イライラ、気分の落ち込み、意欲の低下、不眠等
2.血管に関する症状
ホットフラッシュ(主に顔や上半身のほてり、のぼせ)、発汗、冷えなど
3.その他の身体症状
吐き気、下痢、便秘、胃もたれ、胸やけ、肩こり、腰痛、関節痛、頭痛、めまいなど
女性の身体の多くの臓器、組織にエストロゲン受容体が存在していることから、更年期にエストロゲンが減少すると多彩な症状が全身に及びます。これらが他の病気による症状ではないことを確認するために、念のため病院を受診することをお勧めします。