後縦靭帯骨化症の症状改善に効果がみられた症例

 一般財団法人 光線研究所 研究員 柿沼規之

 後縦靭帯骨化症(指定難病69)とは椎体骨の後縁を上下に連結し、背骨の中を縦に走る後縦靭帯が骨化する病気です。その結果、脊髄の入っている脊柱管が狭くなり、脊髄や脊髄から分枝する神経が圧迫され、感覚障害や運動障害などの神経症状を引き起こします。骨化する脊椎の部位により、頸椎後縦靭帯骨化症、胸椎後縦靭帯骨化症、腰椎後縦靭帯骨化症と呼ばれます。

 現在の医療では本症の治癒は難しいとされる病気です。同様に可視総合光線療法でも治癒することは難しいですが、今回は症状の改善に効果がみられた症例を紹介します。

■後縦靭帯骨化症の原因と症状

 一つの原因で起こる病気ではなく、複数の要因が関与して発症すると考えられています。この病気に関係する要因として、遺伝的要因、性ホルモンの異常、カルシウム・ビタミンD代謝異常、糖尿病、肥満、老化、ストレス、椎間板脱出などが考えられていますが、原因の特定は出来ていません。特に家族内での発症が多いために遺伝子の関連が有力視されています。

 発症部位として多い頸椎にこの病気が起こった場合、最初に首筋や肩甲骨周辺、指先の痛みやしびれなどの症状が現れます。進行すると、次第に痛みやしびれの範囲が拡がり、足のしびれや感覚障害、足が思うように動かないなどの運動障害、両手の細かい作業が困難となる手指の巧緻運動障害などが出現します。胸椎や腰椎にこの病気が起こると体幹や下半身に症状が現れます。初期症状として多いのは、下肢の脱力やしびれです。全ての部位で重症になると立つことや歩行が困難になったり、排尿や排便の障害が出現したり、一人では日常生活が困難になることもあります。

■可視総合光線療法

 病院では装具の装着や薬物療法などの保存的療法を行いますが、効果が得られない場合は手術が検討されます。可視総合光線療法は、光と熱エネルギーで患部を含め全身の血行状態を良好にし筋緊張を和らげ神経の回復を促すことで疼痛やしびれの軽減が期待できます。また、光線療法の特徴である抗炎症作用や神経修復作用により炎症を抑え痛みやしびれなどの諸症状の緩和が期待できます。さらに、光線照射のよりビタミンD産生を促し、本疾患の要因野一つであるカルシウム・ビタミンDの代謝異常の是正に寄与することで病状の進行抑制が期待できます。重症で手術を選択された場合でも手術後の傷口の早期回復や術後のリハビリ効果の向上など術後のケアにも有効です。

◆治療用カーボン

 3001-4008番、4002-4008番、3002-5000番、1000-3001番、1000-3002番などを使用。

◆照射部位・照射時間

 両足裏部⑦・両足首部①・両膝部②(以上、集光器使用せず)、後縦靭帯骨化症患部(腰部⑥・背中部・頸椎下部㉜など)(集光器使用せず、または1号集光器使用)。

『光線研究 第633号』令和4年8月1日発行 一般社団法人 光線研究所

馬込沢うえだ鍼灸院

kiichiro2
  • 船橋市馬込沢で鍼灸院・光線療法院をやってます。
    慢性疾患をよくするためには、
    自己のもつ治癒力を高めることが非常に重要です。
    このブログでは主に光線療法について、
    日光を浴びることの重要性について綴っていきます。

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