頭痛 1
頭痛の原因は多種多様で、原因となる病気によって、頭痛の起こり方や持続時間などが違い、光線治療の方法も違ってきますので、できる限り原因をはっきりさせることが大切です。代表的な頭痛である片頭痛や筋緊張型頭痛の人は、冷え症で血行不良であることが非常に多く、光線治療によってからだを温かくして、心身双方の緊張を緩和させることが大切です。
頭痛の分類
頭痛は、一次性頭痛と他の病気に付随して起こる二次性頭痛に大別することができます。一次性頭痛は、頭蓋外に原因があり片頭痛、筋緊張型などが当てはまります。二次性頭痛は、頭蓋内病変が原因となり、くも膜下出血、脳腫瘍、脳血管解離、慢性硬膜下血腫、髄膜炎など該当します。 二次性頭痛は緊急を要する場合が多くあり、いつもの頭痛と違うと感じたときは急いで病院で診察を受けることが必要です。
●片頭痛型の血管性頭痛
1)古典型片頭痛
若年の女性にしばしばみられる頭痛で、家族内に頭痛患者がいるケースが多いようです。頭痛は片側性で、頭痛発作の前兆として、眼前にピカピカ光る点や色彩の現れる閃輝暗点、光の色彩の図形の出現、視野欠損などがあります。これらは脳動脈の発作性収縮によるものと考えられ、続いて動脈の拡張による拍動性(脈拍や心臓の鼓動に一致してズキンズキンと脈打つような繰り返し)の頭痛が現れます。吐き気、嘔吐をともなうこともあります。
2)普通型片頭痛
20歳代の女性によくみられ、家族に頭痛持ちがいることが多く、片頭痛の拍動性で、まれに吐き気、嘔吐をともないますが、眼症状などの前兆はありません。
●筋収縮型頭痛
頭痛の中で最も頻度が多く、約半数を占めます。成人期を過ぎた神経質な人によくみられます。非拍動性で、1日中続き、後頭部から肩にかけて両側性や片側性に痛みがあり、肩こり、首こり、背部痛をともないます。日常生活のストレス、緊張から筋収縮が起こって発症しますが、精神的要因も非常に大きい頭痛です。
●心因性頭痛
頭部全体の頭痛で、表情は抑うつ的です。心理的な原因による頭痛で、心理的メカニズムとしては、ヒステリーによる転換性頭痛(心理的葛藤が存在している状況で頭痛が発生し、それにより葛藤を回避できるというメカニズム)があります。
●混合性頭痛
片頭痛型の血管性頭痛と筋緊張型頭痛が合併した頭痛です。若い頃から頭痛がみられ、中年になっても種々のストレスが加わり、筋収縮型頭痛を起こすような場合に発症します。
●鼻血管運動性頭痛
鼻閉、鼻漏などをともない、発作的に前頭部に反復する頭痛です。鼻腔、副鼻腔粘膜の充血や浮腫に起因するもので、原因はストレスに対する反応とされています。いわゆるアレルギー性鼻炎とは違います。
●非片頭痛型血管性頭痛
次のような明らかな原因で頭痛が起きます。
1)高血圧症の頭痛
頭痛は高血圧症の主要な自覚症状の一つとされてきましたが、実際には高血圧症患者の中には、自覚症状がないものが多く、軽度ないし中等度の高血圧頭痛とは、関係ないという意見がある一方で、最近では、高血圧は片頭痛、心因性、筋収縮型頭痛をともなうものが多いともいわれています。重症高血圧では、朝覚醒時にしばしば強い後頭部痛がみられます。
2)発熱による頭痛
高熱の多くの場合に、頭痛を感じますが、この頭痛は頭全体に感じ、鈍い、うずくような痛みです。
3)低酸素血症にともなう頭痛
肺気腫、気管支喘息などの肺疾患により低酸素血症、高炭酸ガス血症が起こると、脳血管が拡張し、激しい頭痛が生じます。
4)中毒性頭痛
頭痛が重要症状となる中毒は、アルコール、ベンゼン、フェノール、鉛、一酸化炭素、長期感の副腎皮質ホルモン服用の中止後など、非常に多くあります。
●頭蓋内性疾患による頭痛
頭蓋内容物の容積の変化により、主に血管が牽引されることによって生じ、牽引性頭痛といいます。
1)脳腫瘍の頭痛
この頭痛は、最初は起床後午前中にだけみられ、頭を振るとか、咳、いきみ時に起こることもありますが、病変の進行とともに、進行性に増強するのが特徴です。
2)髄膜炎の頭痛
頭痛は早朝よりみられ、非常に強く、割れるような痛みです。
3)脳血管障害の頭痛
脳出血、脳梗塞で頭痛がみられるが、特にクモ膜下出血の頭痛は激痛です。
●頭蓋外の原因による頭痛
眼、耳、鼻、歯によるもの、頚部からのもの、神経痛によるものなどがあります。
1)眼の異常による頭痛
眼精疲労、緑内障、角膜炎、麦粒腫などがあります。
2)耳、鼻、咽喉の異常による頭痛
中耳炎、メニエール病、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎(蓄膿症)、扁桃炎などがあります。
3)頚椎の異常による頭痛
変形性脊椎症、むちうち症、頚椎の転移性腫瘍などがあります。
4)歯の異常による頭痛
歯髄炎、三叉神経痛、顎関節症などがあります。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著