慢性気管支炎 1
大気汚染が強い地域では、慢性気管支炎などの呼吸器系の異常をきたす人が多く、特に呼吸器疾患や心臓疾患を経験した老人が冒されやすい傾向があります。大気汚染によって起こる健康障害には、特定なものはありませんが、慢性気管支炎、気管支喘息、喘息性気管支炎、眼の刺激症状などが多くみられます。これらのうち、ここでは慢性気管支炎について記述します。
慢性気管支炎の原因
慢性気管支炎は、いろいろな原因によって起こる気管支の炎症です。多くの場合、はじめから慢性に発症して経過しますが、時には急性気管支炎に続いて発症する場合もあります。
気管支炎の中の分泌物が多くなるのが特徴で、これを排出するために、喀痰をともなう咳を症状とします。
原因はいろいろですが、気管支粘膜に対する感染や刺激のほかに個人の体質も関係します。必ずしも大気汚染によってのみ起こるとはいえませんが、喫煙と大気汚染に最も関係があると考えられています。また、都市では地方よりも多く発症していますが、これは煤煙(空気の汚れ)の影響によるものといわれています。
慢性期気管支炎の症状
慢性気管支炎の症状は、長期にわたる咳と喀痰で、息切れをともなうこともあります。咳は、病状によって異なりますが、粘り気のある喀痰をともなうときは激しくなります。昼間よりも夜間・早朝に多く発症し、始めのうちは喀痰は粘り気がありますが、色は透明で、量はあまり多くありません。
気管支が感染を起こしたりすると、喀痰は粘液膿性または漿液膿性となり、量も多くなります。時には血痰(血液が混じった痰)が出て、発熱することもあります。通常は、呼吸困難を起こすことはあまりありませんが、肺気腫を合併したりすると軽い運動でも息切れや頑固な咳が出るようになり、呼吸困難となります。
経過は一般的に長期にわたり、進行すると肺気腫、肺線維症を合併することがあります。
治療法としては、慢性気管支炎を起こす原因を取り除くことが大切です。特にタバコはやめなくてはなりません。禁煙により、咳と喀痰が減少することがよくあります。急に禁煙できない人は少しずつ減らす努力が必要です。同時に室内の空気をクリーンに保つために空気清浄器や部屋の空気を汚さない暖房機の使用などの配慮が必要です。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著