
夜間頻尿と可視総合光線療法
一般財団法人 光線研究所 研究員 佐藤 仁
夜間にトイレのために何度も起きる「夜間頻尿」は、睡眠の質を著しく低下させ、日中の集中力の低下、さらには生活の質(QOL)も大きく損なう原因になります。特に高齢者に多く、困っている方も少なくないと思います。光線療法は、夜間頻尿の改善にも大変役立ちます。今回は夜間頻尿の原因対策と可視総合光線療法での改善例を紹介します。
■夜間頻尿の原因
夜間頻尿の原因は、単なる加齢現象だけでなく、様々な原因が隠れています。そして、その原因に応じた適切な対策や治療を行うことで、症状を改善することは十分に可能です。
夜間頻尿の主な原因には次のようなことがあります。
1.夜間多尿
夜間に尿が過剰に作られる状態で、糖尿病・心不全・腎機能障害などの内科疾患が関連したり、利尿作用のある薬剤(降圧薬など)の服用の影響があります。
2.膀胱容量の減少や過敏
膀胱が小さくなったり、過敏になることで、少量の尿でも排尿したくなる状態になっていることも頻尿につながります。過活動膀胱で少量でも強い尿意を感じたり、男性では前立腺肥大症で、尿が出きらず膀胱に残るため、すぐにまた尿意を感じるようなことも原因としてあります。
3.ホルモンの減少
通常、夜間はADH(抗利尿ホルモン)の分泌が増え、腎臓が水分を再吸収して尿量を抑えます。しかし、加齢や睡眠障害、ホルモンリズムの乱れによりADHの分泌が減ると、夜間の尿量が増加し頻尿になります。
女性ホルモンの減少でも、膀胱や尿道の粘膜が薄くなり、過敏になって少量の尿でも尿意を感じやすくなります。
男性ホルモンの減少でも、膀胱の柔軟性は尿道括約筋の機能が低下し、頻尿につながります。
4.熟睡できていない
熟睡できていないと、目が覚めた時に、膀胱に少量の尿があるだけでも尿意を感じ、夜間頻尿につながります。
5.下肢の血行不良
下肢の血行が悪いことでも夜間頻尿の原因になりますが、その理由は次のようなことです。
ヒトは日中立って活動していると、重力の影響で下肢に血液が貯留しやすくなります。特に高齢者や血行不良のなる人では、下肢に血液が停留しやすく、むくみが生じることもあります。
夜間就寝して体を横にすると、重力の影響が減り、下肢に滞っていた血液が腎臓に流れ込むようになります。これにより、腎臓の血液が増え、尿の生成が促進されるため、夜間頻尿が起こりやすくなります。
心不全や下肢静脈瘤などの血液循環障害があるような場合でも、日中の下肢の血液滞留が顕著になり、夜間の尿量が増える傾向があります。
■日常の夜間頻尿対策
○夕方に足を高くして休息し、下肢の血液を早めに心臓に戻すことで、夜間の尿量を減らすことにつながります。
○弾性ストッキングの着用で、下肢の血液を心臓に戻す作用を促進します。
○足をよく温めたり、適度に動かすことで心臓への血液の戻りを良くしてあげることで、夜間腎臓に余分に流れる血液量を減らします。
○予防排尿を避ける。予防排尿とは、「まだ尿意はないけど、念のためにトイレに行っておこう」という行動です。予防排尿をなぜ避けるべきなのかは次のような理由です。
①本来、膀胱はある程度尿が溜まってから尿意を感じるようにできています。予防排尿を繰り返すと、少量の尿でも排尿する習慣がつき、膀胱が早く収縮するようになります。結果として、膀胱容量が減少し、頻繁に尿意を感じるようになります。
②排尿は、脳と膀胱のコミュニケーションによって制御されています。尿意がないのに排尿することで、脳が誤ったタイミングで排尿指令を出すようになります。
光線研究 第654号 令和8年2月1日発行 一般財団法人 光線研究所