慢性膵炎 1
慢性膵炎は、膵臓に慢性的に炎症が起こり細胞が破壊線維化、膵臓本来の機能が失われてしまう疾患です。膵臓は食べ物を消化吸収するために大切な役割を果たす臓器であり、慢性的に膵臓に炎症が生じると、消化吸収の機能が障害されることになります。その結果、長い年月にわたって腹痛や下痢などの症状が続き、糖尿病を発症したり、膵臓がんのリスクが高まったりします。
慢性膵炎の原因の多くは、アルコールです。このため、薬物療法と合わせて禁酒・断酒などが重要になります。可視総合光線療法は、食事療法や薬物療法だけでは足りない領域を補い、再発防止、疼痛対策、膵臓庇護に有効な療法ということができます。
慢性膵炎の原因と症状
膵臓の働きは大きく2つに分けることができます。一つは食物の消化・吸収を行うためのアミラーゼという消化酵素を分泌する機能と、もう一つは、血糖を調節するインスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌する機能です。
慢性膵炎の症状は、上腹部の痛みが主な症状で、腹痛を反復するたびに膵臓の組織は脱落し、脱落した組織は線維性の組織に置き換えられていきます。この膵線維化が徐々に進行すると、膵臓の外・内分泌機能が著しく阻害され始めます。こうなると腹痛はむしろ軽くなり、代わって下痢、脂肪便などの消化不良の症状やのどの渇き、多尿、体重の減少などの糖尿病の症状がみられるようになります。
診断の一つとして、血液や尿中のアミラーゼという消化酵素の測定を行いますが、慢性膵炎では酵素の増加がみられます。症状としては胃もたれ、悪心、腹部膨満感、下痢、便秘などの消化器症状があります。慢性膵炎の死因としては、膵臓障害とは直接関係ない他臓器のガン、心臓・血管障害、感染症などによるものが多いといわれています。
慢性膵炎の治療
慢性膵炎は、膵線維化を悪化させる激痛発作を予防するために、食養生が重要な治療となります。その前提として、厳重な禁酒を行わなければなりません。食事は膵臓に負担をかけないために、1回に多量の食事を摂らず、消化のよいものをよく噛んで、時間をかけて摂ることが大切です。また、脂肪制限も行う必要があり、肥満にも十分注意が必要です。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著