シェーグレン症候群に対する可視総合光線療法

 一般財団法人光線研究  所長 医学博士 黒田一明

シェーグレン症候群は、涙腺や唾液腺の慢性症状で、緩やかに涙腺機能低下が進み、慢性炎症が生じて起きる自己免疫疾患です。根本的んあ治療法がなく、疾患の活動性を抑えながら、症状を軽快させることになります。このためには日常生活に気をつける必要があります。可視総合光線療法で本症候群に多いビタミンD不足を解消し、血行に良好にすることで乾燥症状などを軽減させます。

 今回は、本症候群の光線治療例について文献を含め解説します。

■シェーグレン症候群

 本症候群は、主に40歳から60歳の女性に好発し涙腺と唾液腺を標的とする臓器病変を伴なう自己免疫疾患でもあります。主症状は乾燥症ですが、唾液腺、涙腺だけでなく、皮膚、鼻腔、咽頭、気管支、外陰部、膣などの全身の外分泌線が障害されます。その他の症状は唾液腺の腫れや痛み、関節痛、肌荒れ、皮疹などです。全身症状で疲労感、頭痛、集中力の低下、うつ傾向などがみられます。現状では根本的に本症候群を治癒させる方法はありません。(出店:難病情報センター)。治療は乾燥症状を軽減させ、疾患の活動性を抑え進行を防ぐことになります。毎日の点眼、口腔内の清潔に心がけ日常生活では過労、睡眠不足、冷え、ストレスに注意します。

■シェーグレン症候群患者の血中ビタミンD濃度(トルコ研究2015年)

 ビタミンDの法症候群など自己免疫疾患の発症、進展に重要な役割を果たしている。今回、本症候群患者における血中ビタミンD濃度を測定し、健常人のそれと比較した。血中ビタミンD濃度は本症候群では20.5ng/ml、健常人は28.4ng/mlで患者では有意に低値であった。性別では男性は29.4ng/ml、女性は19.2ng/mlと、女性で有意に低値であった。本症候群はビタミンD欠乏状態の割合が高く、とくに女性患者ではビタミンD欠乏の人が多いことが示された。

■ドライアイとビタミンD欠乏(トルコの研究2016年)

 ドライアイとビタミンD欠乏との関係と、ビタミンD低値とドライアイの臨床症状との関係を検討した。ビタミンD欠乏(20ng/ml未満)である閉経前の女性ドライアイ患者50人が対象、対照群は閉経前の健常女性48人であった。結果、ドライアイ患者はシルマー試験(涙腺の分泌機能を診断)とBUT測定検査(眼の表面の涙がどのくらいの時間で乾燥し始めるかを調べる)結果が低い点数で、ドライアイ特異的質問紙票(OSD)による点数と痛みの指標(VAS)が高いことが示された。以上から、ビタミンD欠乏患者はドライアイの症状や涙腺の機能が強いことが示され、ビタミンDがドライアイを予防していることが示された。

■可視総合光線療法

 シェーグレン症候群には光線療法の光・熱エネルギーの補給が重要になります。光・熱エネルギーの補給が重要になります。光エネルギーは皮膚でビタミンDの産生を促し、本症候群に多いビタミンD欠乏や不足の状態を是正する作用します。本症候群の多くの研究ではビタミンD欠乏や不足が報告されています。本症候群の軽減には血中ビタミンD濃度を高めることが重要です。とくに韓国の研究(2016年)では、ドライアイ症候群の危険因子として血中ビタミンD濃度低値とともに日照不足、都市生活、屋内仕事が指摘され、日に当たらないことが大きく関係すると報告されています。涙腺や唾液には粘膜の保護や消化を助けるほかに、免疫グロブリンAという抗体は含まれ細菌やウィルスから体が含まれ細菌やウィルスから体を守っています。光線療法は粘膜の機能を強化し、局所の免疫機能を高める作用があります。

 一方、涙腺や唾液を増やすに水分摂取とともに血液循環が良くなければなりません。熱エネルギーの補給は血液循環を良好にし涙腺、唾液の分泌します。さらに、熱エネルギーは骨髄での血球の新陳代謝を改善し、新しい血液が体内に供給され涙腺、唾液分泌を改善します。睡眠不足、過労、体の冷えなどがあると、骨髄機能が低下し涙液や唾液の分泌が減少し免疫機能も低下します。

◆治療用カーボン

3001-5000番、3001-4008番、1000-3001番などを使用。

※1000-3001番を使う場合、眼への照射は3001-5000番を使用。

◆光線照射部位及び照射時間

両足裏部⑦・両足首部①・両膝部②・腹部⑤。腰部⑥(以上集光器使用せず)各5~10分間照射。その他病態に合わせ後頭部③(1号集光器使用)、左右咽喉部④・肝臓部㉗(以上2号集光器使用)、眼部⑯(1号集光器使用)各5分間照射、左右こめかみ部㊱㊲・左右耳下腺部㊳㊴・顎下線部(以上2号集光器使用)各5~10分間照射。

※注意:本症候群は自己免疫病の一つで、他の自己免疫病を合併することもあるため、眼や口の乾燥感がある場合は医療機関の受診をお勧めします。

光線研究 第642号 令和6年2月1日発行(一般社団法人 光線研究所)

kiichiro2
  • 船橋市馬込沢で鍼灸院・光線療法院をやってます。
    慢性疾患をよくするためには、
    自己のもつ治癒力を高めることが非常に重要です。
    このブログでは主に光線療法について、
    日光を浴びることの重要性について綴っていきます。

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