慢性疼痛に対する可視総合光線療法 5
~侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛~
Ⅲ.痛覚変調性疼痛
体の傷や神経の障害といった明確な原因はないが、長引く痛みがあります。近年、この痛みを感じる仕組みに、脳の神経回路の変化が関係することが分かってきました。この仕組みの知覚異常・過敏により生じる疼痛は国際疼痛学会で痛覚変調性疼痛と分類されました。この疼痛の運動器慢性痛のなかで病態が分かり始めた疾患には、慢性腰痛症や線維筋痛症があります。
【治験例】
全身の痛み 73歳 女性 主婦
◆症状の経過
40歳頃より胸痛がたまにあり、心臓などの検査では異常はなかった。68歳頃より背中痛があったが検査で異常はなかった。その後、下腹部痛、腰痛、膝痛も出てきた。夫と2人暮らしで、夫の外商の仕事でいつも先行きに不安があった。69歳時、友人の紹介で当付属診療所(光線研究所付属診療所)を受診した。
◆光線治療
治療用カーボン3001-4008番を使用、⑦背中全体各10分間、①②⑤⑥③を各5分間、首すじ部(1号集光器使用)10分間適宜追加。
◆治療の経過
当所(光線研究所付属診療所)への通院治療を行った。痛みの原因は、夫の仕事の先行き不安によるストレスと思われる。治療2回で全体的に痛みは軽減。治療3~10回後、下腹部痛、腰痛、膝痛は楽になったが、背中の痛みは不変であった。治療10~20回前後、光線治療により発汗するようになり体調が上向いてきた。治療21~30回前後、腰から左臀部にかけ痛みが出た。72歳時、夫が仕事をやめた。治療60回後(1年後)痛みは軽い状態で安定した。その後は3年間で40回程度しか来所治療ができかった。73歳の現在、光線治療で背中、腰などの痛みは楽になり大変助かっている。
『光線研究 第637号』令和年4月1日発行 一般社団法人 光線研究所