風邪 1
風邪は、鼻や喉など粘膜に炎症を起こすことが多い疾患です。主な原因はウィルスによるものとされており、鼻腔、咽頭、喉頭、気管支、肺などに急性の炎症が起こります。症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、喉の痛み、咳、痰、発熱、頭痛、全身倦怠感、食欲不振などです。また、関節に痛みが起きたり、胃腸の調子が悪くなったりします。多くの場合、熱が出ますが、平熱の場合もあります。小児では一般に高い熱が出やすく、老人では発熱しにくい傾向があります。
風邪による炎症と症状
1)急性鼻炎
鼻粘膜の炎症で、鼻風邪といわれています。寒冷が誘因になるようです。くしゃみなどがあり、漿液性(粘性物質を含まないさらさらした透明な分泌液)・粘液性の分泌物をともない、鼻づまりや嗅覚障害を起こしたり、鼻声になったりします。
2)急性咽頭炎
急性鼻炎に関連して起こることが多い炎症で、咽頭扁桃を侵し、咽喉部に不快感や痛みがあります。小児では高熱が出ることがありますが、一般には熱出ることはあまりありません。炎症が強いと耳管がふさがり聴力障害を起こすことがあります。また耳管から炎症が中耳に及び、急性中耳炎を起こすこともあります。
3)急性扁桃炎
高熱(39~40℃)が出て、全身の違和感、倦怠感、食欲不振、頭痛、関節痛をともないます。扁桃の痛みと嚥下障害が起こってきます。
4)急性気管支炎
風邪に関連して起こることが多く、上気道の炎症が気管支に及んで起こる急性の炎症です。喉の不快感、食欲減退、頭痛などがあり、痰、咳などの炎症が起こります。小児では高熱を出しやすい傾向があります。
風邪に対して最も警戒を要するのは、老人の場合です。老人は若い人に比べて体力がなく、呼吸器の感染に対する抵抗力が低下しているため、風邪をひくと気管支炎、肺炎で進む傾向が強くなります。また、老人はからだの反応が衰えているために、肺炎になっても高熱が出ないなど、肺炎の症状が現れないために発見が遅れてしまうことがあります。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著