疼痛緩和と血圧 1
痛みのメカニズム
可視総合光線は、様々な痛みの緩和に広く応用されています。
一般的に、痛みが起こるメカニズムの基本とされているのは以下のようなものです。
打撲、外傷、火傷、手術、骨・関節疾患、感染症などの因子(侵害刺激)によって痛覚(体中にある痛みのレセプター)が刺激され、炎症が起き、この情報が知覚神経を通じて大脳皮質の感覚野というところで認識されます。鋭い痛み、鈍い痛みなどによって、伝わる神経の種類や神経路が異なります。
炎症は患部を守るための生理的現象で、炎症時にはヒスタミン、ブラジキニン、セロトニン、プロスタグランジンなどの発痛物質が生成されます。これらの物質により知覚神経はさらに刺激されます。
痛みは、脳内において痛み閾値の影響を強く受けます。同じ刺激であっても閾値が低ければ痛みが強いと感じ、閾値が高ければ弱いと感じます。この痛み閾値の設定は精神的ストレスによって大きく上下します。また痛み自体がストレスとなり痛みの悪循環が形成されます。
「痛み」という感覚は、生体を守るために必要なありがたいはずのものです。しかし慢性化した痛みは単なる痛みでしかなく、QOL(生活の質)を下げる大きな要因となります。ありがたくない痛みをなくすもしくは減らすためにできることがあります。
可視総合光線療法における痛み緩和の機序
可視総合光線は、末梢血液循環を正常時の状態に戻し、悪循環を断つよう作用します。
●知覚神経に与える作用
温熱作用により知覚神経刺激が軽減されます。痛みのある部位に当てた可視総合光線は、元あった痛みを打ち消します。これは痛覚神経の興奮が脊髄を通って脳に伝わる過程で、可視総合光線の刺激が痛みと同じ経路に入るために、元の痛みがごまかされるためです。これを「ゲートコントロールによる鎮痛」いいます。脊髄を門に見立て、その門において痛みがコントロールされることからこのように呼ばれます。
●血行改善作用、組織の代謝亢進作用、抗炎症作用
温熱と光化学作用により患部の温度が上昇し、その部位の組織の代謝が高まります。酸素、栄養、白血球などが供給され、抗炎症の機序が働きます。さらには血流促進によって発痛物質の滞りが解消され痛みが緩和されます。
●筋緊張の弛緩作用
温熱作用により、筋肉の緊張に関わる筋紡錘の興奮が抑制され、筋肉を弛緩させます。
●自律神経緊張の緩和作用
痛みによる交感神経過剰の状態が痛みの悪循環を形成します。不安に恐怖によってが痛みは大きくなり、逆に喜びや笑い、うれしいといった感情や心身のリラックスによって痛みは小さなものとなります。可視総合光線療法は薬などのような副作用もほとんどなく、誰でもが安心して利用できます。
疼痛と血圧の関連
血圧は血液を体の各細胞に送るために生じるものであり、やみくもに下げればいいわけではなく、至適血圧は人によって同じではありません。痛みによって生体は緊急事態だと感じ、それに応じて血圧は上昇します。これが急性痛による一時的ものであればいいのですが、長く続く緊急事態はからだを疲弊させ、他の病気の発症のリスクを高めてしまいます。このようなことからも、なるべく早いうちに痛みを和らげることが望まれます。
参:(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著