創傷と可視光線療法 2
【治験例1】褥瘡
75歳 男性
◆症状の経過
40歳代頃よりパーキンソン病で服薬。昨年秋、誤嚥性肺炎で入院し、年末にようやく退院。寝たきりとなり、在宅介護となった。尿道にバルーンが挿入され、経鼻栄養になり、舌根の落ち込みがひどく痰を吸引してもらっていた。同じ体勢が続き、仙骨部に褥瘡が生じ、看護師に1日3回来てもらっていたが、状態は日々悪化していた。不眠傾向も強く、日に日に衰弱していくのが分かった。娘さんが懇意のマクロビオテックの先生に相談したところ、光線療法を紹介され、少しでも体力低下を防ぎ、病状進行を抑えられればと当付属診療所(光線研究所付属診療所)に相談に来所。
◆光線治療
パーキンソン病は治療用カーボン3002-5000番を使用し⑦①⑥(以上集光器使用せず)。2週間後より褥瘡部に3001-4008番を使用し、患部の範囲に合わせて1号又は2号集光器を使用し照射。左右咽喉部④、のど正面も追加照射(以上2号集光器使用)。照射時間は各5~10分間。
◆治療の経過
娘さんが帰省時に看護師に光線治療のやり方を伝え、毎日照射をしてもらってところ、心地よく眠りやすくなった。痛みのある部位にも照射を行い、光線照射にも慣れ少し体力が戻った。2週間後より褥瘡部に治療用カーボン3001-4008番で照射した。褥瘡部には集光器を使用せず照射した。光線治療開始1ヵ月後には、一晩全く眠れないということが無くなり、体力が付いて元気が出てきた。舌の落ち込みも改善していたが声が出にくいため、のど正面への光線照射を追加した。約2ヵ月後には、栄養状態も改善し白かった爪もきれいになった。褥瘡部も骨が見える程であったが、中から肉が盛り上がり、表面はまだ塞がってないが、8割方回復し、病院の先生も驚いていた。
『光線研究 第634号』令和4年10月1日発行 一般社団法人 光線研究所