いわゆる自律神経失調症 2
自律神経失調症の患者タイプ
自律神経失調症は、患者のタイプ別に身体的な因子から起こる本態性タイプ、神経過敏な傾向の人に多い神経症タイプ、心理的ストレスが関与している心身症タイプに分けられます。当然これらの混合したタイプも多くみられます。
本態性の自律神経失調症は、身体的になんらかの自律神経の失調をきたいしゃすい素質を親から受け継いで、自律神経が乱れやすいタイプと考えられています。体質的にやせ型で、低血圧、胃下垂、アレルギーなどがみられます。このタイプは、子供の頃から自家中毒、乗り物酔い、朝礼時の気分不快、立ちくらみなど自律神経のみられやすい状況があり、また両親の一方が自律神経失調症で治療を受けていたようなことが少なくありません。
しかし、現代のような複雑で多様化した世の中で生活していると、やはり情緒的な面が絡んで起きる神経症タイプや心身症タイプの自律神経失調症が多く、これらが大多数を占めています。このようなタイプではストレスが回避できないため、ストレスの過剰反応状態が続き、徐々に自律神経が弱くなって、自律神経失調の症状が出てきます。
人類がこの地球上に誕生してから、人間の生活リズムは1日24時間であり、朝明るくなると起き出し、夕方暗くなると寝る生活を続けてきました。ところが文明の進歩は昼夜の区別なくし、生活リズムを大幅に変化させてきました。しかし、いくら文明が進歩しても、1日24時間という昼夜リズム(生活リズム)は、そう簡単には変わりません。さらに、現代社会では生活・職場環境において種々のストレスの要因は増加する一方です。近年、アレルギーや低体温の子供たちが増加している現象が指摘されていますが、これらも自律神経失調症の部分症状で、食事、運動、睡眠など生活環境の影響が大きく関係していると
考えられます。これら自律神経失調症の増加は、本来私たちに備わっている自然な昼夜リズムを無視した生活状態に原因を求めることができます。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著