冷えと頭痛
人の体を慢性的に苦しめる痛みは、筋肉から発生することが多いようです。例えば、肩こりは肩の筋肉から、狭心症・心筋梗塞は心臓の筋肉から、それぞれ痛みが発生します。片頭痛も脳の動脈血管にある筋肉から発生します。片頭痛は脳の血管が収縮して痛みが発生するのではなく、血管が拡張することで発生すると考えられています。
片頭痛は冷え症の女性に多く、頭痛が激しいと嘔吐をともなうこともあります。冷え症の状態に過労、寝不足などストレスが加わると、交感神経系の緊張により全身の血管は収縮しいっそう血行が悪くなります。そこで、生体は、強い交感神経の緊張から逃れるために、緊急反応として副交感神経系を緊張させます。その結果、収縮した脳の血管が拡張に転じ、脳の血流を増加させるため頭痛が生じ、水分の排出として嘔吐もみられます。頭痛・嘔吐はすべて冷えた体を温めようとする一種の防衛反応で、片頭痛はからだが冷えているという警告の一つです。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著