風邪(季節病の代表格)
昔から日本では花冷え、寒の戻り、木の芽どき、夏やせ、夏ばてなどの言葉があり、気象の変化がからだにさまざまな影響を与えることを表わしています。関節痛、神経痛、頭痛、喘息、めまい、精神不安定などの症状は、気象の変化によって痛みや発作が現れたりすることがよくあります。また季節の変化に応じて現れる病気の種類が異なるこもよく知られています。
季節を区切って発生する病気は一般に季節病と呼ばれています。医学地理研究所の所長であったも籾山雅子先生は、病気の種類や死亡率が季節で変化することを季節病カレンダーという形で表現しました。このカレンダーにもあるように病気にかかった人の多くが冬に死亡する傾向があります。
冬の病気としては脳卒中、心疾患、肺炎、気管支炎などがあります。中でも風邪はいちばん身近なウィルス感染による一連の症候群で、ウィルスさえなければ、どんなに寒くても風邪はひきません。冬の風邪はインフルエンザがその代表格です。気温や温度が低くなりインフルエンザが猛威をふるっても、からだの抵抗力が強ければ感染しません。抵抗力の一つで最前線の役目を担っているのが鼻、喉、気管支の粘膜です。寒さでからだが冷えると、これらの粘膜が刺激され細胞の働きが低下するため、ウィルスが付着したとき抵抗しきれずにからだへの侵入を許してしまいます。したがって、風邪の予防には粘膜の抵抗力を低下させないことが重要です。からだが冷えないように、日頃から過労を避け、栄養、保温などに配慮して、血行を良好に保つ心がけが非常に大切です。可視総合光線療法は血行を良好にするため、からだが温かくなって自然に粘膜の強化がはかられます。光線療法を続け風邪をひかなくなったということはよくあることです。
風邪の光線治療は足裏部を長めに照射しますが、20分間程度の照射で足が温まらない場合は、温まるまで照射してよいでしょう。治療後には水分を十分に摂るようにします。なお、風邪の発熱は抵抗力の一つで、からだにとって有益な防御反応ですので、解熱剤の乱用は慎まなければなりません。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著