肝臓病 2
肝臓病の治療
肝臓病の治療の基本は安静です。特に急性肝炎では、発病した初めの時期の安静がその後の経過に大きく影響します。急性の場合は、ただひたすら横になっていることが治療の原則です。安静は、肝臓の血液を早めるとともに、肝臓の負担を軽くします。肝臓の血液は、立位では横になっているときと比較して約30%減少し、運動すると50~80%も減少します。慢性肝炎、肝硬変では、食後30~60間は横になって休養することが必要です。
食事は、高たんぱく、高カロリーが必要ですが、肥満にならないように配慮しなければなりません。アルコールは肝臓の線維化を促進したり、病気を悪化させる大きな原因になりますので、控えたほうが賢明です。
肝臓病の可視総合光線療法
可視総合光線療法は、安静とともに肝臓の血流を増やし、同時に光と温熱の作用によって、肝障害の回復を促進します。
1) 光線照射の温熱効果と腫脹吸収作用が、肝臓への血液を増やし、肝臓の炎症を緩和させることにより、線維化の進行を抑制します。
2) 肝障害、とくに肝硬変では全身の血液循環が悪く、そのため食道静脈瘤だけでなく胃や十二指腸の粘膜の血液の流れも悪くなり、胃・十二指腸潰瘍の発生も多くなります。このような細い血管の血流改善にも光線治療は有効です。
3) 肝臓障害に黄疸という症状がみられることがあります。黄疸は、血中にビリルビン(赤血球に含まれる黄色い色素)という物質が増加するために皮膚や粘膜が黄色くなるという症状を呈します。光線、特に可視線には血中のビリルビンを下げる作用があり、このような効果は以前から新生児重症黄疸の治療に世界中の医療現場で応用されています。
4) 肝臓病は糖代謝の主な臓器である肝臓の障害ですから、肝臓病があると糖尿病になりやすくなります。光線治療は、肝臓病の改善とともに糖代謝にも影響をおよぼします。
5) 肝臓の治療に副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤が使われることがありますが、これらの薬剤は、生体の本来持っている防御機構(自然回復力)も抑え得てしまうため、感染症が起こりやすくなります。風邪、肺炎、胆嚢炎、腎盂炎などの感染症は、肝臓病患者では症状を悪化させる大きな要因になります。光線治療は、このような薬剤の副作用を軽減させ、感染を予防して回復力を増強させます。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著