交感神経過緊張 2
交感神経過緊張
元慈恵医科大学麻酔科の若杉教授は、神経ブロック療法の診療経験をもとに、自律神経の機能異常によって引き起こされる心身症や自律神経失調症は、交感神経が強く関与しており、それも交感神経過緊張が多いことから、これらの疾患群は交感神経過緊張症としたほうが理解しやすい、と提唱しています。
その理由として、神経ブロック療法の一つである星状神経節ブロック療法を繰り返すと、局所的な症状の改善にとどまらず、前記した可視総合光線療法の効果と同様に、全身的な種々の症状の改善がみられることもあげています。
中でも、前例に共通している大きなメリットは、星状神経節ブロック療法を20~30回繰り返すと、風邪をひかなくなるということです。
さらに若杉教授は、交感神経過緊張症説を裏付ける例として、子宮筋腫手術後に生じた自律神経失調症の治療例をあげています。この患者には筋収縮性頭痛、メニエール病、良性頭位眩暈症、咽喉頭異状感症、扁桃炎、肩こりなどの多彩な症状がありましたが、星状神経節ブロック療法だけで治療して、治療50回を過ぎる頃からこれらの症状は改善し、その後は手術前の健康状態に戻りました。この例はさまざまな症状を呈していますが、これらはすべて交感神経の過緊張によるものと考察しています。したがって、診断は子宮摘出後自律神経失調症ではなくて、子宮摘出後交感神経過緊張症としたほうがはっきりすると説明しています。(出典:日本医事新報 No3389:2424、1989年)
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著
※星状神経節ブロック:頚部の星状神経節という交感神経幹の中継地点に局所麻酔することで、交感神経過緊張による種々の症状を緩和する治療。