高齢者の夜間頻尿
高齢者の排尿に関する訴えの中で最も多いのは、頻尿あるいは夜間頻尿です。成人の1日の排尿回数はおおよそ5~6回、夜間就寝中はおおよそ0~1回ですが、夜間常に2回以上排尿がある場合を夜間頻尿といいます。頻尿の原因には尿量の増加、膀胱容量の減少、排尿反射の亢進、神経症などがあります。
◎尿量の増加:高齢者の夜間頻尿の理由としては、まず夜間の尿量の増加があります。高齢者では加齢にともなう腎臓と心臓の機能低下がみられ、夜間横になった状態になると腎臓の血液量が増加するため、夜間は多尿状態になっていることが多くみられます。また高血圧や心臓病患者では利尿剤服用による尿量増加なども影響しています。
◎膀胱容量の減少:子宮筋腫、卵巣嚢腫、直腸腫瘍などによる膀胱の圧迫によって膀胱の容積が減少すれば当然排尿の回数は増えます。男性では前立腺肥大症による残尿のため頻尿になります。
◎排尿反射の亢進:膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、前立腺肥大症の初期などでは膀胱が刺激されやすくなるため頻尿や夜間頻尿となります。
◎神経症:神経症(心因性)頻尿では日中の排尿回数が多く、夜間の排尿回数は日中と比べあまり多くないという特徴があります。
以上のように高齢者における頻尿や夜間頻尿を起こす病態は多彩ですが、その基礎には心臓、腎臓の働きの低下が大きく影響しています。これらの機能低下は手足の冷えという症状となって現れてきます。光線治療は足裏などの下半身を照射することで、心臓から遠い部位の血管を拡張させ、その結果心臓から送られる血液の量が増加して心臓、腎臓の働きを改善します。手足は温かくなり、夜間多かった尿量、頻尿は少なくなってきます。光線治療ではどの治療用カーボンでもこのような作用がありますので、頻尿や夜間頻尿の場合は足裏部など下半身をしっかり照射することが大切です。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著