
のう胞性疾患に対する可視総合光線療法(卵巣チョコレートのう胞およびガマ腫)
一般財団法人 光線療法所
研究員 新井 悠介
のう胞性疾患は、体内の組織や臓器に液体を溜め込む袋(嚢胞)が形成される病態の総称です。臓器がのう胞の性質によって多彩な症状と治療法が存在します。良性であれば、経過観察となる一方、悪性の場合や日常生活に支障が生じる場合には、手術などの治療が必要となります。光線療法は、のう胞性疾患に対しても有効であり、副作用も無いためこれまで多くの方が利用しています。今回は、のう胞性疾患のうち卵巣チョコレートのう胞とガマ腫の経過の良い例を紹介します。
■卵巣チョコレートのう胞とは
子宮内膜が何らかの原因で、卵巣・卵管や腹膜、腸など子宮の外にも発生・増殖することがあり、この病態を子宮内膜症と呼びます。卵巣チョコレートのう胞もこの病態の一つで、卵巣にのう胞ができ、その中に古い茶褐色の血液が溜まっていく疾患です。のう胞の炎症が強いと生理中に下腹部痛や腰痛が生じやすくなり、炎症が進行すると生理でない時にも痛みが生じるようになります。のう胞が周囲の臓器と癒着し、不妊症や月経困難症の原因になることもあります。特に40代以降に罹患するとガン化リスクが上昇するとされるため、注意が必要です。のう胞の大きさが5㎝以内であれば、治療はホルモン療法などで経過をみることが多いですが、それ以上の大きさであれば、手術が検討されます。
■ガマ腫とは
唾液を作っている下の裏側にある舌下線の損傷や閉塞で唾液が漏れ出し、袋状の組織を形成し、そこに唾液が貯留して水風船のような腫れ物ができ炎症を起こします。腫れ具合がガマガエルが喉を膨らませたときの形に似ていることから、この様な名称になったと言われています。正式名称は、粘液貯留のう胞です。痛みを伴うことはあまりありませんが大きくなると、飲食や話すことも困難になり、手術などの治療が必要となります。
■のう胞性疾患に対する可視総合光線療法
光線療法の優れた血行改善作用は、体力を強化し、免疫反応を促進して患部の炎症物質や老廃物を速やかに除去し、患部の回復力を高めます。また患部への照射に集光器を使用することにより、患部の血流を増加させ免疫細胞を豊富に運び、腫脹吸収や異物排泄を促進します。さらに継続照射血中ビタミンD濃度が高まることで、病状の進行を抑えたり、痛みをはじめ様々な症状を軽減することが期待できます。
治療用カーボン:3001-5000番、3001-4008番、1000-3001番、1000-4001番などを使用。
照射部位:両足裏部⑦・両足首部①・両膝部②・腹部⑤・腰部⑥(以上集光器使用せず)患部へは範囲に合わせて1号又は2号又は3号集光器を使用する。⑦・患部は各10分間。その他は、各5~10分間照射。
光線研究 第652号 令和7年10月1日発行 一般財団法人 光線研究所