線維筋痛症による痛みが光線療法で緩和している症例

一般財団法人 光線研究所

研究員 柿沼 規之

 線維筋痛症は全身の広範囲にわたる慢性的な痛みにより、生活の質が大きく損なわれます。根本的な治療法がなく、原因不明の難治性疾患といわれていますが、可視総合光線療法の継続により、痛み緩和し病気と上手く付き合いながら日常生活を送れている方もいます。今回は、この線維筋痛症の解説とともに光線治療で痛みが緩和した症例を紹介します。

■線維筋痛症

 本邦の推定患者数は約200万人、好発年齢は40~60歳代、男女比は1:4で女性の罹患者が多いのが特徴です。米国リウマチ学会が1990年に作成した診断分類が代表的で、3ヵ月以上持続する広範囲な疼痛、触診により基準の圧痛点18か所のうち11カ所以上に痛みが認められることです(※図参照)。痛みの他には疲労感に襲われたり睡眠障害や抑うつ気分などの精神症状を伴うこともあります。

 この痛みの原因は脳の機能異常といわれています。皮膚や筋肉で感じる末梢の痛みは、その刺激が脊髄から脳に伝えられ、痛みとして完治されますが、脳にはこの末梢から痛みを抑制する経路「下行性疼痛抑制経路」があり、痛みに対するブレーキの役割を担っています。本疾患では初めに強い痛みが繰り返されることで中枢神経が興奮状態に陥り痛みに対する反応が過剰になり、通常では痛みを感じない軽微な刺激でも激痛を感じる状態になると考えられています。

■可視総合光線療法

 可視総合光線療法の光と熱エネルギーは皮膚でのビタミンD産生を促し、ビタミンD不足を解消します。ビタミンDや温熱は痛みに関与する下行性疼痛抑制系を調節し線維筋痛症による過剰な痛みを抑制、過敏状態にある脳の興奮を鎮めます。

 線維筋痛症による全身の慢性的な痛みがあると、交感神経が過緊張し血行不良となり、それにより脳の神経回路が過敏になることで、疲労感や睡眠の質の低下、痛みを強く感じるという悪循環を辿ることになります。

 光線治療を行うことで自律神経を安定させ心身をリラックスさせて睡眠の質を向上させるなど痛みをコントロールして、本疾患と上手に付き合いながら生活の質を高めることが期待できます。

3001-5000番、3001-4008番、3002-5000番、1000-3001晩などを使用。

両足裏部⑦・両足首部①・両膝部②・腹部⑤・腰部⑥(以下集光器使用せず)、痛む部位(痛む範囲によって1号又は2号集光器使用)各5~10分間照射。本疾患の痛みが強い場合、光線治療後に痛みや疲労感を強く感じる陽性反応が出る場合は、⑦①②のみの照射から始めて、治療に慣れて陽性反応がでなくなれば痛む部位各5~10分間を徐々に追加照射するとよい。

光線研究 第651号 一般財団法人 光線研究所

kiichiro2
  • 船橋市馬込沢で鍼灸院・光線療法院をやってます。
    慢性疾患をよくするためには、
    自己のもつ治癒力を高めることが非常に重要です。
    このブログでは主に光線療法について、
    日光を浴びることの重要性について綴っていきます。

うつ病・不安神経症・自律神経失調症・不眠症その他神経麻痺・頭痛・神経痛精神科系

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