熱ショックタンパク(HSP)と可視総合光線療法 1

一般財団法人光線研究所

研究員     佐藤 仁

所長 医学博士 黒田一明

 私たちの体を構成する約60兆個の細胞の主成分は、水分を除くとタンパク質です。病気や外界からの様々なストレスにより細胞の中のタンパク質の構造が壊されます。熱ショックタンパク(HSP)は、この損傷したタンパク質を修復してくれるタンパク質なので、たいへん重要な物質です。HSPは、体に様々なストレスがかかると増えますが、特に温熱刺激で増えやすいので熱ショックという名前がつけられています。

 年齢を重ねると、病気やケガ、また日焼けや肌荒れなどが治りにくくなります。それは、傷ついたタンパク質の修復に時間がかかっているためです。体内にあるHSPの量が減少していることも一因です。

 体を温めることで、私たちの体の中でHSPの産生が増えますが、HSPを増やすことで、次のようなメリットがあります。

①創傷治癒を促進 

 外傷・やけど・手術痕などの創傷や、病気のために粘膜や皮膚の表面がくずれてできた潰瘍等では、細胞のタンパク質が損傷を受けた状態ですが、HSPはその修復や合成を促進するので、治癒の促進には特に役立ちます。放射線治療による皮膚の炎症にも効果的です。

②ガン予防・治療の補助

 体を温めることで免疫機能を高めることはよく知られていますが、温熱で増えるHSPは、ガン細胞を攻撃する免疫細胞、NK細胞やキラーT細胞の働きを増強する働きもあります。従って、ガン治療の補助や予防に役立ちます。

③心血管疾患の予防

 高血圧や高血糖で、血管の内皮細胞が損傷すると動脈硬化が進行しやすくなりますが、HSPは損傷を受けた内皮細胞の修復や保護をする作用があるので、動脈硬化からの心筋梗塞のリスクを軽減します。

④運動パフォーマンスの向上

 運動により筋肉細胞が損傷を受けると、筋肉痛や筋疲労が起こります。HSPは運動により損傷を受けた筋肉細胞の修復を促進するので、運動後の筋肉の回復、さらには運動のパフォーマンスの向上にも役立ちます。

⑤アンチエイジング(抗老化)

 老化により劣化した細胞の修復を高めるので、アンチエイジング効果があります。

⑥スキンケア 

 皮膚の新陳代謝が亢進するので、シワやシミの抑制、皮膚の健康維持に役立ちます。

⑦ストレス耐性の向上

 精神的ストレスやうつ病のリスクを低減する可能性を示唆されています。

HSPを増やすには、身体に適度な「熱ストレス」を与えることが鍵になります。日常できることは、次のような方法があります。

➀温熱刺激

 入浴やサウナなどの温熱刺激でHSPは増加します。但し、温度が高すぎると(43℃以上)場合は細胞損傷のリスクがあるで、適切な温度設定と時間管理が重要です。

②適度な運動 

 軽度の運動(ウォーキング、ジョギングなど)でHSPが増えます。激しい運動でも、HSPは増えますが、活性酸素も増えるのでそれが細胞や組織にダメージを与える可能性があるので、適度な運動量と頻度が大切です。

光線研究 第652号 令和7年10月1日発行 一般財団法人 光線研究所

kiichiro2
  • 船橋市馬込沢で鍼灸院・光線療法院をやってます。
    慢性疾患をよくするためには、
    自己のもつ治癒力を高めることが非常に重要です。
    このブログでは主に光線療法について、
    日光を浴びることの重要性について綴っていきます。

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