出生率・着床率・妊娠率・流産率におけるビタミンD充足と未充足群の比較(英国の研究)
生殖補助医療の体外受精を受けた女性500名の血中ビタミンD濃度を調査し、血中ビタミンD濃度20㎍/ml未満を欠乏群、21~29㎍/ml未満を不足群、30㎍/ml以上を充足と3群に分け臨床成績を比較した、対象者の割合は、欠乏群53.2%と不足群30.8%を合わせた全体の84%に上り、ビタミンD充足群はわずか16%と少ない状況であった。出生率で比較するとビタミンD欠乏群、不足群、充足群でそれぞれ23.2%、27.0%、37.7%という結果だった。着床率や妊娠率に関しても同様にビタミンD充足群がそれぞれ最も高い成績(48.1%、41.6%)を示し、3群間で統計的に有意な差が見られた。また子宮内膜からはビタミンD受容体とその活性酸素が発見されている。これらのことから受精卵の着床にはビタミンDが重要な役割をしていると考えられる。さらに流産率も充足群が最も低い結果となり、血中ビタミンD濃度の状態と妊娠および出産の可能性との間に関連性がみられた。
『光線研究 第632号』令和4年6月1日 一般社団法人 光線研究所発行