腸疾患の便秘、過敏性腸症候群、 潰瘍性大腸炎に対する可視総合光線療法 4
●過敏性腸症候群患者はビタミンD欠乏が多い(サウジアラビアの研究2015年)
過敏性腸症候群患者60人、健常人100人の血中ビタミンD濃度を測定した。その結果、過敏性腸症候群患者は血中ビタミンD濃度が有意に低く、20ng/ml未満の人の割合が有意に多かった(ビタミンDの欠乏が判明)。
【治療例】
過敏性腸症候群
59歳 男性 会社役員
◆症状の経過
20歳頃より腹痛、下痢しやすい状態が継続。内科で検査では異常がなく、時々下痢止めを服用。40歳時、下痢の改善はなかった。仕事で講演会やセミナーが多く、話すことが多いため喉の痛み、眼精疲労、腰痛があり、忙しいと下痢が続いた。講演先の会社の社長から光線療法を紹介され、51歳時、当付属診療所(光線研究所付属診療所)を受診。食事は外食が多く、油物が好きだった。
◆光線治療
治療用カーボン3001-4008番を使用。⑦背中全体各10分間、①②㉓㉔⑥㉗㉘③④・眼鼻部⑯各5分間照射。③⑯㉓㉔㉘(以上1号集光器)、④㉗(以上2号集光器使用)。
◆治療の経過
自宅でできるだけ光線治療を行う。治療3ヵ月後、冷たかった足、腹が温まり腹痛、下痢が少なくなった。眼部⑯への照射で眼がすっきりした。治療1年後、仕事が多忙となり光線治療は⑦⑥4⑯のみを続けた。治療3年後、体重が増加し肩こり、背中のこりがひどくなり、背中全体の光線照射も行った。冷えがなければ腹痛、下痢は少なかった。治療後5年後、光線治療のお陰で仕事が続けられた。治療8年後の現在、下痢は完治ではないが光線治療で良好となっている。
■潰瘍性大腸炎(指定難病97)
本大腸炎は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。症状が改善する寛解期と症状が悪化する再燃期を繰り返す特徴があります。主な症状は、血便、下痢、腹痛です。近年は食生活やビタミンD不足などにより宿主免疫の異常だけでなく、組織の深部に侵入している腸内細菌がその発症要因をして推定されています。炎症性腸疾患では腸内細菌叢のバランスが崩れ多様性が低下して、抗炎性の細菌が減少し、炎症を引き起こす細菌が増殖することで本症を発病します。
『光線研究 第636号』令和年2月1日発行 一般社団法人 光線研究所