
腸疾患の便秘、過敏性腸症候群、 潰瘍性大腸炎に対する可視総合光線療法
=腸内細菌・ビタミンDの関与
一般財団法人光線研究所
所長 医学博士 黒田 一明
近年、腸内細菌の遺伝子解析により腸内細菌が生体に及ぼす影響について多くの研究が報告されています。腸内細菌は、栄養代謝、脂質代謝、ビタミンやアミノ酸の合成、防御機構、免疫機構の発達に大きく寄与しています。人の腸内細菌叢の異常は多様性の低下と呼ばれ、慢性便秘、炎症性腸疾患などの種々の疾患ろ関連性が示唆されています。
今回は、慢性便秘症、過敏性症候群、潰瘍性大腸炎の光線治療との発症に関係する腸内細菌叢、ビタミンDの文献を併せて解説します。
■腸内細菌叢
腸内細菌叢とは、腸内に棲息している細菌の集まりのことです。腸内細菌叢には善玉菌、悪玉菌、日和見菌と呼ばれる菌がいます。善玉菌は消化吸収の補助や免疫刺激など、健康維持や老化防止などへの影響があり代表的な菌はビフィズス菌や乳酸菌などです。悪玉菌は、体に悪い影響を及ぼすとされ、代表的な菌はウェルシュ菌やブドウ球菌、大腸菌などです。日和見菌は体が弱ったりすると腸内で悪い働きをする菌で、代表的なものはバクテロイデス、大腸菌、連鎖球菌などです。
光線療法で度々解説しているビタミンDは、その欠乏や不足が免疫異常を介して過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎の発症、再発に関与します。さらに、これらの疾患ではビタミンDの欠乏や不足により腸内細菌のバランスが変化し疾患の発症や悪化にも深く関係しています。
『光線研究 第63号』令和年2月1日発行 一般社団法人 光線研究所