
創傷と可視総合光線療法 3
【治験例2】
開放性脱臼の創傷
38歳 鍼灸師 男性 170cm 65kg
◆症状の経過
坂道でのアスレチックトレーニング中に躓き、右母趾が変な方向に曲がり出血。倒れた直後に「骨が飛び出ている」とトレーニング仲間より指摘され、母趾が動かないことに気づき、夢中で指を引っ張った。運よく脱臼は戻ったが激しく出血し、激痛で右足をつけなかった。直ぐに水洗いし、もっていたガーゼとテープで止血したが、動かすとまた出血し救急車で搬送となった。病院で「骨折は無く、右母趾の開放性脱臼による母趾外側皮膚約3分の1の創傷と側副靭帯損傷」と診断。創傷部の傷口は深く、搬送先の医師より皮下組織の筋膜まで障害されている可能性があると言われた。「光線治療を試したい」と医師に伝え、簡易な処置を抗生物質を処方してもらった。医師より、感染症にくれぐれも注意する様に指導された。
◆光線治療
治療用カーボン:3001-4008番を使用。⑦①②⑤⑥(以上集光器使用せず)、④・患部(2号集光器使用)1日2回患部を15~30分間他は各5分間照射。
◆治療の経過
受傷直後の処置で止血していたが、帰宅時には処置のテーピングが染まるほどに出血し、当日の夜は、痛みがひどく、殆ど眠れなかった。翌日より仕事の前後に光線治療を開始。「患部の皮膚が伸びきってしまうことで真皮層の修復が進まなくなる」と医師より言われていたため、テーピングの度に引き上げるように固定した。起床時の痛みは強かったが光線治療開始で少しずつ眠れるようになり、就寝時の痛みで目が覚めるとはなかった。1日2回の光線治療と念入りな洗浄やテーピングなどにより、感染症には至らなかった。しかし、数日はテーピングに血がにじみ出る状態が続いた。1週間が経過する頃には、自転車移動から歩行に替えることが出来たが、動くことによる出血はあった。受傷後約3週間後には、テーピングも不要となり、日常に支障はなくなった。光線治療を早期に開始したことにより受傷かせずに回復も早かった。まだ右母趾の動きにぎこちなさは残るため、リハビリと共に光線照射は続ける予定である。
『光線研究 第634号』令和4年10月1日発行 一般社団法人 光線研究所