帯状疱疹後神経痛
水痘帯状疱疹ウィルスを原因として発症する神経痛です。水痘は一度感染するとヒトの体内に潜伏し、ガンやストレスなど強い免疫負荷がかかる状況で再度活性化することがあります。神経の分布に一致した領域に皮疹や神経痛が生じます。障害が強く残ると皮疹が治癒した後も神経の痛みが残ることになり、この様にして発症する神経痛を帯状疱疹後神経痛と言います。
【治験例2】帯状疱疹後神経痛
72歳 男性 158cm 65㎏
◆症状の経過
本年1月下旬に右肋骨下部に突然痛みが生じ、その後痛む範囲に皮疹が拡がり、帯状疱疹と診断された。昨年5月から脊柱管狭窄症の光線治療を行い、半年後には散歩が再開できるまでに回復したが、歩きすぎて疲労が溜まったことも帯状疱疹の要因と考えられた。指導書を参考に3001-3002番で患部に1号集光器を用い照射した。皮疹は約1週間で消失したが痛みはあまり変化が無かった。治療用カーボンを3001-5000番に変えて照射しても、シャツを着る度にチクチクするような痛みに変わりがなかった。呼吸の度に痛みが生じ、やる気も失せ仕事は週3回とした。
◆光線治療
治療用カーボン3001-3002番。一時3001-5000番に変更後、3002-5000番を使用。⑦・両足首部①(以上集光器使用せず)、右乳下部㊹・右肩甲骨下部㊺・右腋窩㊻(以上1号集光器使用)。
◆治療の経過
痛みが続き辛かったが、風呂で温まると楽になるため1日2回入浴した。治療用カーボンの変更後も痛みが変わらなかったため、治療用カーボンを3002-5000番に変更した。数日で呼吸時の皮膚の痛みが改善し驚いた。効果を確信し、1ヵ月程継続したところいつの間にか症状は消退した。休んでいたウォーキングとラジオ体操も再開し、元の日常に戻った。
◆考察
本神経痛は、長引くほど難治のため、対処が早く、光線治療を継続したことが功を奏した好例です。長期間改善がなければ、治療用カーボンの変更を行うことも良いと思います。
『光線研究 第633号』令和4年8月1日発行 一般社団法人 光線研究所