ギリシャにおける変形性膝関節症、股関節症患者のビタミンDの状況について(ギリシャの研究2015年)および可視総合光線療法
関節の手術を目的に入院した変形患者、股関節症患者において、血中ビタミンD濃度の状況を調べた。その結果、164人の患者の81.7%がビタミンD欠乏20㎍/ml未満)の状況であった。その濃度は男性で14.1㎍/ml、女性で10㎍/mlと低かった。以上、関節の手術を目的に入院した変形性股関節症、股関節症患者の多くがビタミンD欠乏状態で、特に女性患者は男性患者より血中ビタミンD濃度が低いことが示された。関節症患者はビタミンDの状況を改善させることが重要と考えられた。
■可視総合光線療法
変形性股関節症の有病率は、変形性膝関節症や変形性腰椎症と比べると低く、性別でみると40歳以上では男性の方が高い傾向がみられるますが、年齢との関連は認められない特徴があります。しかし、変形した関節は時間経過とともに進行した関節軟骨も徐々に減少していきます。日常生活は制限されてきますので、変形性股関節症は関節痛や機能障害の進行を少しでもゆっくりにさせることが治療目的になります。光線療法は連続スペクトルの光と熱エネルギーを身体に補給することにより体温、血行を良好に保ち、ビタミンD産生を高めカルシウム代謝を良好にします。これにより抗炎症作用、免疫機能を高めておくことが重要となります。前記の研究結果から変形性股関節症患者はビタミンD不足が著明なことから、日頃から光線治療を定期的に行いビタミンD不足を解消しておくことが股関節痛と機能障害の進行を抑え、生活の質が向上することになります。
◆光線治療
3001-5000番、3001-4008番、1000-3001番、1000-4001番、5000-5002番、1000-3002番などを使用。
◆照射部位と照射時間
両足裏部⑦・両足首部①・両膝部②・後大腿部㉚・腹部⑤・腰部⑥(以上集光器使用せず)各5~10分間、後頭部③(1号集光器使用)5分間照射。その他の病態に合わせて、そけい部㉓㉔・そけい部の横・臀部⑬⑭(以上1号集光器使用)など局所を各5~10分間照射。痛みが強くなかなか軽減しない場合は治療1日2~3回行う。
【注意】
変形性股関節症は症状だけでは関節状況は分かりません。進行性の疾患なので医療機関の検査は必要であり、経過を観察するためにも医療機関を受診してください。
『光線研究 第629号』令和3年12月1日 一般財団法人 光線研究所発行