糖尿病性網膜症の眼底出血が改善
【治験症例 2】
糖尿病性網膜症
64歳・男性・会社役員/身長167cm・体重69kg
◆症状の経過
50歳ごろから糖尿病を指摘されていたが、食事療法はできなかった。58歳時、激務が続いて視力障害が出現した。眼科を受診し、糖尿病性網膜症と診断され、飛蚊症も現れていた。両眼の眼底出血に対してレーザー治療を受けた。
糖尿病(血糖値180mg/dl)と網膜症を治療するため、知人の紹介で当付属診療所(光線研究所付属診療所)を受診した。
◆光線治療
治療用カーボンは3001-4008番を使用し、両足裏部⑦・両足首部①・両膝部②・肝臓部㉗・背正中部㉘各10分間、腹部⑤・腰部⑥・後頭③・左右こめかみ部㊱㊲各5分間照射。⑦①②⑤⑥以上集光器使用せず、㉘③以上1号集光器使用、㉗㊱㊲以上2号集光器使用。
◆治療の経過
食事療法を厳守し、光線治療を続けることで、足が温まり、熟睡が可能となった。
治療2ヵ月で、眼底の所見はきれいになったと眼科医に説明され、飛蚊症も少なくなってきた。治療半年で体重は4kg減り、血糖値は120/d l前後に改善した。
治療3年後の現在、生活習慣と光線療法により体調はよく、網膜症の進行もなく安定している。
◆コメント
糖尿病発症の上昇とともに増加している糖尿病性網膜症は、失明原因の第1位になっている。視力障害は生活の質を大きく損ね、その防止策は高齢長寿社会の重要な問題である。
近年、糖尿病性網膜症とビタミンD欠乏の関係が報告されている。その研究によれば、網膜症の所見が悪化するほど、血中ビタミンD濃度が低いとのことである。網膜症の進行には血管新生という現象が大きく関与しているが、ビタミンDには血管新生を抑える働きがある。
このことは、体内にビタミンDが充分にあると、血管新生がひどくならず、網膜症の進行が抑制されること示唆している。また、ビタミンDには血糖を下げるインスリンの分泌を促す作用もある。このため、糖尿病でが日ごろから光線治療の習慣をつけて、ビタミンDならびにカルシウム代謝を良好な状態に維持することが、網膜症などの合併症の予防に有効である。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・治療報告と症例集」黒田一明著