脳梗塞後遺症が改善し、血糖値も安定
【治験症例 3】
糖尿病、脳梗塞
51歳・男性・会社員/身長162cm・体重59kg
◆症状の経過
20歳代後半に糖尿病を指摘され、それ以来血糖値はうまくコントロールされていた。しかし、40歳ごろから仕事上のストレス、得意先接待での飲食が増えて、血糖値や血圧が上昇し始めた。51歳時、会話中に突然ろれつがまわらなくなり、右手足の軽い麻痺が起こった。病院で脳梗塞と診断され、入院して薬物治療を受けた。
しかし、症状が進行したため、妻が代理相談に当付属診療所(光線研究所付属診療所)に来所し、自宅で光線治療を始めた。タバコは20歳から脳梗塞の発症まで、約30年の間、1日20本吸っていた。
◆光線治療
治療用カーボンは3001-4008番を使用し、両足裏部⑦10分間、両足首部①・両膝部②・腹部⑤各5分間、腰部⑥(以上集光器使用せず)・背正中部㉘各10分間、後頭部③(以上1号集光器使用)5分間照射。
◆治療の経過
自宅で光線治療を開始し、数日間で次のような効果が見られた。(1)右手の動きがよくなり、箸も何とか持てるようになった。(2)話しやすくなった。(3)よく眠れるようになった。(4)15日間も続いた便秘が治り、その後は毎日快便となった。
光線治療1ヵ月後から朝晩1日2回治療を行った。言語障害がさらに改善し、右半身麻痺の回復が進んだ。脳梗塞後1年数ヵ月で、脳梗塞の後遺症はほぼ解消した。脳梗塞後4年目の現在、血圧120/80mmHg前後、血糖値100mg/dl前後と安定している。
◆コメント
本治験例は、典型的なメタボリック症候群と考えられる。糖尿病・高血圧・高脂血症・肥満など4つの原因が重なると、動脈硬化が進行し、突然死の原因である冠動脈疾患の罹患率が高まることから、別名「死の四重奏」と呼ばれている。
本症候群は、血糖を下げるホルモンであるインスリンの働きが低下し、インスリン抵抗性が基盤となって発症する。4つの要因のほか、過度の飲酒・喫煙・過労が加わると血管障害は進み、心疾患、脳血管障害を起こす。
この病態は、日に当たることが少ないことやビタミンD欠乏状態と関係があると指摘されている。インスリン分泌はビタミンDに依存していることから、光線療法によるビタミンDとカルシウム代謝の是正は、この病態の基盤であるインスリンの作用を改善し、血管障害進行を抑えることになる。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・治療報告と症例集」黒田一明著