特発性血小板減少性紫斑病による血小板減少が改善
【治験症例 1】
特発性血小板減少性紫斑病
55歳・女性・主婦/身長156cm・体重54kg
◆症状の経過
40歳ごろより、歯磨き後、歯茎の出血がなかなか止まらず、打撲部に内出血を起こしやすくなった。
大学病院で特発性血小板減少性紫斑病と診断され、ステロイド剤による治療を受けていたが、からだ中の関節痛、顔の浮腫、脱毛などの副作用が出たことから、2年間で中止した。体調は悪くないが、血小板は4万~5万/μl(基準値15万~33/μl)を下回ることが多かった。
最近では4万/μlを下回ることが多くなり、主治医から脾臓摘出の手術を受けるように勧められていた。友人の紹介で当付属診療所(光線研究所付属診療所)を受診し、自宅で光線治療を開始した。
◆光線治療
治療用カーボンは3000-5000晩を使用し、両足裏部⑦・両足首部①・両膝部②を各10分間、腹部⑤・腰部⑥。後頭部③を各5分間照射。⑦①②⑤⑥は集光器使用せず、③は1号集光器使用。
◆治療の経過
治療は大変気持ちがよく、からだの中から力が湧いてくる感じがした。昨年までは、夏でも汗をかくことが少なかったが、今年は発汗するようになった。
治療開始2ヵ月目より脾臓部㊽(2号集光器使用)・背正中部㉘(1号集光器使用)各10分間を追加照射した。
治療3ヵ月目には、何年ぶりかで血小板が6万/μlに増加し、主治医に驚かれた。歯茎からの出血もなくなり、鼻血も出なくなった。このままなら手術は必要なしと言われたが、もっと血小板数を基準値に近づけるため、光線治療は継続している。
◆コメント
本疾患は、明確な原因や基礎疾患がなく、さまざまな出血症状を示す自己免疫疾患で、厚生労働省指定の難病(特定疾患治療研究事業対策疾患)である。ステロイド剤による治療が中心で、緩解率は約20%、残りの重症例では脾臓摘出手術(血小板は主に脾臓で処理される)を行うことになる。
本治験例は、ステロイド治療が行えない状態で、手術一歩手前であったが、光線療法により血小板の増加が見られ脾臓摘出手術を免れた貴重な症例である。
●血圧(mmHg)
148/93(初診時)→ 122/81(2ヵ月後)→ 122/89(3ヵ月後)
●脈拍(回/分)
97(初診時)→ 75(2ヵ月後)→ 73(3ヵ月後)
●心拍出量(ℓ/分)
7.37(初診時)→ 4.5(2ヵ月後)→ 3.72(3ヵ月後)
(財)光線研究所「可視総合光線療法・治療報告と症例集」黒田一明著