薬疹によるかゆみが消退、黒ずみも完全に消失
【治験症例 2】
下肢の薬疹
68歳・女性・主婦/身長149cm・体重53kg
◆症状の経過
30年来の高血圧症で、何種類もの薬を服用していた。とくに最近になって血圧が高くなり、医師から強めの降圧剤を処方されていた。
その後、徐々に両下肢に湿疹様の症状が出るようになった。中でも左腓腹筋部に、強いかゆみが現れていた。とくにベッドに入ってからのかゆみが強く、寝つきも悪くなり、睡眠不足気味になっていた。
近くの皮膚科を受診したところ、薬疹と診断された。皮膚科で塗布薬を処方されたので、2ヵ月間使用したが一進一退の状態で、さしたる効果が見られなかった。
また、2年前より腰部から左下肢にかけて坐骨神経痛の痛みが見られ、歩くのもつらい状態であった。
いつも利用している病院の先生に光線療法を紹介され、当付属診療所(光線研究所付属診療所)を受診した。
◆光線治療
治療用カーボンは3001-3002番を使用し、両足裏部⑦・腓腹筋部㉙・脛部・腰部⑥各10分間両足首部①・両膝部②・後大腿部㉚・腹部⑤(以上集光器使用せず)、後頭部③(1号集光器使用)各5分間照射。
◆治療の経過
当所を受診時は、両下肢全体に薬疹が広がっていて、強いかゆみを訴えていた。光線治療器を求め、当所(光線研究所付属診療所)の指示どおり自宅で毎日欠かさずに光線治療を行った。
治療1週間後、両下肢全体の黒ずんでいた薬疹の色が少し薄くなり、かゆみが軽減してきた。
治療2週間後、さらに色が薄くなり、ベッドに入ってもかゆみが起こらなくなった。治療1ヵ月後、両下肢全体のかゆみがすっかり消退し、下肢の黒ずみも完全に消失し、元の健康な皮膚状態に戻った。
腰部から左下肢に見られた坐骨神経痛の痛みも、光線治療の継続により、いつとはなく治癒していた。血圧が正常範囲になったため、弱い降圧剤に変更となった。
◆コメント
初診時の所見では、強いかゆみによる睡眠不足を訴え、薬疹の見た目も悪かったため、外出をあまりしたがらない状態で、気持ちの落ち込みも見られた。
当所(光線研究所付属診療所)で測定した足裏の表面温度は、坐骨神経痛をともなう血行不良から、右下肢(健側)より左下肢(患側)のほうにやや低が見られた。しかし、光線治療の継続による症状の改善とともに、左右足裏表面温度はほぼ同値まで上昇した。
強めの降圧剤を服用しているにもかかわらず、血圧値が不安定で高めだったのは、強い掻痒感(かきむしりたくなるほどのかゆみ)と睡眠不足、加えてイライラ感、精神的ストレスなどが、高血圧の要因と思われる。光線治療による症状緩和と同時に、血圧値も正常範囲に安定してきたと考えられる。
●血圧(mmHg)
160/86(初診時)→ 136/68(1ヵ月後)
●足裏温(℃)
右:33.1 (初診時)→ 35.4(1ヵ月後)
左:31.9 (初診時)→ 35.6(1ヵ月後)
(財)光線研究所「可視総合光線療法・治療報告と症例集」黒田一明著