五百円玉大の円形脱毛症が改善
【治験症例 8】
円形脱毛症
20歳・女性・会社員/身長159cm・体重45kg
◆症状の経過
約3ヵ月前、前頭部に五百円玉大の円形の脱毛が現れた。6ヵ月前に就職したてで仕事に不慣れな上、職場の人間関係にも大きなストレスを感じていた。
脱毛部の症状が徐々に悪化してきたため、皮膚科を受診した。検査の結果、脱毛の原因はアレルギーではないと言われ、内服薬と塗布薬を処方された。
皮膚科での治療を2ヵ月間行ったが、脱毛は一向に止まらず、髪をとかすときや洗髪時の抜け毛のために、排水溝がいっぱいになった。
脱毛が激しいので、出勤時にはカツラをつけたが、帰宅後カツラをとると、頭が赤くむれ、かゆくて困った。また、冷え症も強く、生理不順で生理痛も強かった。
親戚の紹介で、当付属診療所(光線研究所付属診療所)を受診した。
◆光線治療
治療用カーボンは3002-5000番を使用し、両足裏部⑦・両膝部②・腰部⑥(以上集光器使用せず)各10分間、後頭部③・頭頂部㉒・前頭部の患部(以上1号集光器使用)各5~10分間、左右咽喉部④(2号集光器使用)各5分間照射。
◆治療の経過
当所初診時は、前頭部を中心に広く脱毛しており、大変落ち込んでいた。光線治療は自宅で毎日行った。
光線治療1ヵ月後、ブラッシングや洗髪時の抜け毛が少なくなり、カツラ着用によるかゆみも軽減してきた。
治療2ヵ月後、脱毛の広がりが止まり、脱毛部周辺や中央部から発毛してきた。治療3ヵ月後より、さらに発毛が進み始め、患者も希望を持って治療を継続した。
治療7ヵ月後、頭髪が完全に生えそろい、元の状態に回復した。洗髪してもブラシをかけても、抜け毛が少なくなった。生理不順と冷え症も改善した。
◆コメント
本治験例の患者は、生真面目な性格で職場になじめなかったことや、長時間の通勤によるストレスがあった。元来あった冷え症とも重なり、脱毛がひどくなったと思われる。しかし、毎日帰宅後、熱心に光線治療を行ったことが早めの改善につながった。
本治験例は、内服薬や塗布薬の使用よりも、光線治療のほうが効果的であったことが裏づけられた症例である。当所で測定した治療7ヵ月後の足裏表面温度は、初診時より4~5℃高くなり、治療継続により冷えも改善していることがわかる。しかし、今後もさまざまストレスが加われば、ストレスによる血行不良が起こり、冷え症を再び惹起して、脱毛やほかのからだの不調を招く可能性も考えられる。
したがって、体調を良好に維持するためには、光線治療を継続することが望ましい。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・治療報告と症例集」黒田一明著