
アトピー性皮膚炎と光線療法 5
●上手に「陽性反応」を予防する
アトピー性皮膚炎のなど皮膚の病気では、可視総合光線の照射の初期に「陽性反応」が見られることがある。光線照射のような「自然治癒」を促進する治療法では、血行改善により炎症部位から起炎因子(炎症の引き金となる物質)が放出されることで、一時的に「炎症の憎悪」を引き起こし、症状が悪化したように見えることがある。
それらは薬などの副作用とは異なり、あくまでも治癒にいたるまでの一時的な反応であるが、光線治療における陽性反応を予防するには、次のような対策を実施すること。
①ワセリンなど保湿剤(薬剤の含有がないクリーム)で保湿を充分に行う。ただし、保湿剤によるかぶれにも注意すること。
②治療初期は、照射部位を少なめにし、集光器を用いる。照射時間を短めにする。照射距離を長めにとるなど、適宜調節する。
③治療初期は、あまり熱くなく、気持ちよく感じる治療用カーボンを選択する。
④陽性反応が強い場合は、ときに薬剤を併用することも考慮する。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・治療報告と症例集」黒田一明著