加齢による右股関節痛、大腿部痛が消退
【治験症例 4】
変形性股関節症・肝硬変症
74歳・女性・主婦/身長157cm・体重44kg
◆症状の経過
元来、からだが細く、体力もなく、胃腸が弱かった。だからといって寝込むことはなかったが、体力をつけるために、60歳より友人の紹介で光線治療を始めた。
70歳すぎから右股関節と大腿部が痛むようになった。近所の整形外科を受診し、検査を受けたところ、加齢による変形性股関節症と診断された。整形外科で、しばらく股関節部への注射による治療を受けていた。
しかし、痛みに変化が見られないため、以前から使っていた光線治療器で治療しようと思い立って、74歳のときに当付属診療所(光線研究所付属診療所)を受診した。
◆光線治療 1
3001-4008番の治療用カーボンを使用し、両足裏部⑦・両足首部①・両膝部②・後大腿部㉚・腰部⑥・左右下腹部㉓㉔を各10分間、後頭部③・は5分間照射。⑦①②㉚⑥以上集光器使用せず、㉓㉔③以上1号集光器使用。
◆治療の経過 1
光線治療の処方を受け、自宅で光線治療を続けた。治療2週間で、平地での歩行、階段の昇降が楽になってきたが、その後はあまり目に見える伸展がなかった。
治療1ヵ月後より、右臀部⑬の照射(1号集光器を使用し、10~20分間)を追加して治療を続けた。治療半年後、動き始めに股関節に痛みがあり、腰もこわばる感じがあるものの、日常生活は可能であった。
それから9年後、病院での精密検査の結果、C型肝炎による肝硬変と診断されたので、光線治療を再開することにした。そのころ、以前の右股関節痛はやわらいでいたものの、左股関節に痛みが出るようになっていたので、肝臓と股関節痛の治療相談に当所(光線研究所付属診療所)を再診した。
◆光線治療 2
4001-4008番の治療用カーボンを使用し、両足裏部⑦・両足首部①・両膝部②・腰部⑥・左臀部⑭(横から照射)・肝臓部㉗・背正中部㉘は各10分間照射、後頭部③は5分間照射した。⑦①②⑥以上集光器使用せず、㉗以上2号集光器使用、⑭・左大腿部・㉘③以上1号集光器使用。
◆治療の経過 2
その後は自宅で毎日光線照射を行いながら、月1回、当所(光線研究所付属診療所)へ通院を続けた。
治療10年後(85歳)の現在、股関節の痛みは一進一退の状態であるが、ひとり暮らしでも何とか生活が可能な状態である。肝硬変は進行がないようで、検査では腹水や腫瘍は見られない。当所で測定した骨量は同年代と比較して101%で良好であった。
◆コメント
膝関節症の治療と違い、変形性股関節症の治療はむずかしく、痛みが取れにくい場合が少なくない。とくに高齢者ではその傾向が強いといえる。
本治験例は手術をせず、整形外科の治療(リハビリテーションを含む)と光線治療で経過をみた。治療中の途中で肝臓病も発見され、肝臓病の光線治療も追加して治療を続けた。股関節の痛みは、日により変動するが、85歳の現在まで、ひとり暮らしの生活を維持できている。
●血圧(mmHg)
130/68(初診時)→ 125/62(半年後)→ 129/60(1年後)→ 160/79(9年後)→123/68(10年後)
(財)光線研究所「可視総合光線療法・治療報告と症例集」黒田一明著