貧血 1
血液は、液体成分である血漿と血球成分である赤血球、白血球、血小板から成り立っています。血液は骨髄でつくられ、成熟すると血管に入り、体内を循環します。赤血球の数は1立方m(mm³)の中に男性約500万個、女性約450万個。赤血球は直径7ミクロンくらいの大きさで円盤状をしており、その中に血色素(ヘモグロビン)を含んでいます。血色素量は、血液1dl中に男性14~18g、女性12~16g含まれています。ヘマトクリットは血液の中に占める血球成分の容積の割合を示すもので、男性44~46%、女性40~42%です。貧血になるとこの値が減少します。
貧血の定義と症状
赤血球の主な働きは、呼吸によって肺胞で受け取った酸素を体内に運んで放出し、代わりに炭酸ガス(二酸化炭素)を受け取って肺胞に運んでガス交換を行うことです。赤血球はこれを繰り返して生命の維持に努めています。酸素は血色素(ヘモグロビン)と結合したり離れたりしますが、一酸化炭素は血色素と一度結合すると離れないので、赤血球は酸素を運ぶ能力を失ってしまいます。これが一酸化炭素中毒で、死に至る場合もあります。貧血は、血液中の赤血球と血色素の絶対数および量が、正常状態に比べて減少した状態をいいます。したがって、患者の自覚症状だけで決めると、仮性貧血と誤ることがあります。
血液1dl中の血色素が男性14.0g以下、女性12.0g以下を貧血を診断し、赤血球数では男性400万(/mm³)個以下、女性350万 (/mm³) 個以下を貧血と診断します。
貧血が起こると、頭痛、めまい、耳鳴り、失神、疲れやすい、寒さに弱い、筋肉の力が弱るなどの自覚症状が現れます。皮膚や可視粘膜(目で見ることのできる粘膜)蒼白となってきますが、皮膚自体の色にかくされて貧血が判らないこともあります。また、蒼白にみえても貧血でないこともあります。したがって、眼瞼結膜、口唇など可視粘膜の色が問題になります。
貧血が軽度であれば、呼吸器系、循環器系への影響はありませんが、(運動時には息切れ、動悸などがみられる場合もある)貧血が強くなれば、心拍数、心拍出量が増加し、血流の速度が増進します。また、呼吸数の増加や運動時の呼吸困難の原因にもなります。
貧血が長引くと心臓肥大が起こったり、心不全となって下肢にむくみが出ることがあります。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著