糖尿病とビタミンD その3
糖尿病と可視総合光線療法
糖尿病は食事療法、運動療法という基本的な対策を順守し、可視総合光線療法の種々の治療効果を期待することなります。
糖尿病の可視総合光線療法については、従来は血行改善、新陳代謝の促進作用、カルシウム代謝などの面から検討してきました。しかし、ビタミンD並びにビタミンDを介したカルシウム動態とインスリン分泌の関係が明らかにされてきた現在、糖尿病における可視総合光線療法の意義は大きいといえます。
【治験例 1】
■インスリン依存型糖尿病による神経障害
◆26歳/女性(身長 161㎝ 体重 50kg)
◆症状の経過:血糖コントロールができずインスリン治療に入った。25歳のとき眼の硝子体出血を起こし※光凝固や血種除去手術を受けた。その後、糖尿病性腎症も指摘され、足の冷え、むくみ、腱反射消失もあり神経障害も指摘された。
※光凝固:レーザー光で病的な網膜を凝固させることにより病気の進行を抑える治療方法
◆光線治療:3001-4008番の治療用カーボンを使用し、両足裏部、両膝部各5~10分間、腰部、肝臓部、背正中部、後頭部、左右咽喉部、左右こめかみ部各5分間照射。後頭部と左右咽喉部は1日おきの交互照射。両足裏部、両膝部、腰部は集光器使用せず、後頭部と背正中部は1号集光器使用、左右咽喉部、肝臓部、左右こめかみ部は2号集光器使用。
◆治療経過:治療開始1年半後の病院の検査時、今まで消失していた腱反射がみられた。その後足先の冷え感とむくみが完全に解消した。毎起床時の吐き気もなくなり、体調も良好となった。血糖値はインスリンによりコントロール(100~120mg/dl)されているが、白内障の治療のため光線治療は継続している。
【解説】神経障害は長い時間をかけて起き、合併症の中で最初にみられる症状の一つです。末梢神経がおかされ下肢の神経痛やしびれ感が起き、検査では膝蓋腱反射やアキレス腱反射が減弱あるいは消失し、振動覚(振動を感じる感覚)も低下します。神経障害はビタミン剤の服用でも治りにくいといわれていますが、本症例は食事療法と光線治療継続により神経障害が改善した治験例といえます。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著