胃炎(胃カタル)1
胃の病気の中でも最も多いのが胃炎です。胃炎は内壁の粘膜に炎症を起こすものですが、原因や経過、炎症状態などによって急性胃炎と慢性炎に分けられます。日本では慢性胃炎のような症状ある場合、胃を検査しても特別な異常がないものを神経性胃炎といいますが、近年、慢性胃炎は自覚症状との関係が少ないということが明らかになり、国際的にはNUD(non-ulcer-dyspepsia)という概念が提唱されています。
※ NUD(non-ulcer-dyspepsia) :慢性胃炎のこと
※ ulcer :潰瘍 dyspepsia :消化不良
急性胃炎と慢性胃炎
●急性炎
急性胃炎は、食事の不摂生によって起こることが多い病気です。暴飲暴食、腐敗した飲食物の摂取、よく噛まない、アルコール類の飲み過ぎなどが原因になります。また、アスピリンや強心剤などの服用による胃炎もあります。処方薬・市販薬を内服する場合は、服用の回数、時間など、指示や用法を守ることが必要です。
また、食中毒や特定の食品に対する過敏症が誘因となる食物アレルギーによって起きたり、急性感染症によって起こる場合があります。
症状は、腹部の不快感から始まり、気分が悪くなります。食欲不振、口喝、悪心、嘔吐があり、吐き気が強いときは水を飲むこともできません。また胃部の膨満感が強く、痛みが起こる場合もあり、吐物に血液や胆汁がまざることもあります。便通は下痢や便秘するものがあります。劇薬を飲み込んだ場合は、直後に上腹部に激しい腹痛が起こります。原因がはっきりしていることが多いので診断は比較的容易です(食事性の場合は、ほとんど食後10時間以内に発症します)
●慢性胃炎
慢性胃炎は、急性胃炎と違い明らかでないことが多く、急性から徐々に慢性に移行するもの、発症時から慢性のものがあります。
いくつかの原因が重なり起こると考えられ、その一つに飲酒やタバコなどで繰り返し刺激が加わるときに発症するケースがあります。
症状は、一般に上腹部の不快感、食欲不振があり、胃部の膨満感、食後の腹痛、胸やけ、吐き気などがみられ、中には自覚症状が全くない場合もあります。
慢性胃炎は、胃潰瘍や胃ガンとの鑑別が難しいことがあります。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著