炎症性腸疾患 3
潰瘍性大腸炎・クローン病の治療
一般療法として、心身の安静が大切です。そのためには睡眠を十分にとる必要があります。心身の安静と食事療法は、腸管の安静を保つためにも重要であり、高たんぱく、高カロリー、高ビタミン食が基本となります。
潰瘍性大腸炎とクローン病は原因が不明なため、根治的な治療法は今のところありません。内科的な治療として栄養療法と抗生物質、副腎皮質ホルモン、サラゾビン、免疫抑制剤などの薬物療法があります。
入院を必要とする急性(増悪)期は腸管の安静が必要で、そのために腸管栄養という管を通し直接腸に消化状態・半消化状態の高カロリーの栄養を入れる方法と首の下の鎖骨下静脈に高カロリーの点滴をする完全静脈栄養が行われます。この栄養療法は、クローン病急性期では治療の主流となっています。
外科的な治療は、内科的な治療が困難な場合や穿孔、大出血、中毒性巨大結腸症、瘻孔、ガンなどが対象となります。
これらの炎症性疾患は、再発・緩解を繰り返しますが、再発には種々のストレス(心理的・社会的因子)が関係しているといわれています。この疾患は慢性疾患で一生病気とつきあっていかなければなりません。ストレスの要因としては、食事の制約、再発や手術の不安、長期にわたる服薬と副作用の心配、就業、就学、結婚、妊娠など日常生活の悩みが多く考えられます。したがって、再発防止のためにはこれらの悩みを解決し、患者の生活に合わせた改善策を立てることも大切です。
炎症性疾患の光線治療
可視総合光線療法は、光と温熱による抗炎症作用、鎮痛作用、整腸作用、止痢作用などによって炎症性腸疾患の症状を軽減させます。さらに光線照射は自律神経系の緊張を緩和させますので、精神的な安定が期待できると同時に、腸管の安静にも寄与します。
炎症性腸疾患の患者は心配事などがあると不眠症に陥りやすい特徴があり、そのため就寝時間が不規則となってっす眠不足になる場合が少なくありません。睡眠不足は過労にもつながるので、可視総合光線療法で自律神経の緊張を緩和し、規則正しい睡眠を心がけることが基本となります。また、潰瘍性大腸炎とクローン病では、副腎皮質ホルモンがよく使われるので、可視総合光線療法は、これらの薬剤の副作用の軽減にも有効です。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著