胃下垂症・胃アトニー 1

胃下垂症・胃アトニーという病名はよく知られていますが、これらの病気は、決して胃が下垂しているという形だけの問題ではなく、やせ型の体型とその背後にある神経症的な性格という気質、自律神経系の不安定(循環不全)という機能的な特徴が、複雑に相互にからみあって起こってくる全身的な疾患と考えられています。 

最近では、これらの病気は心身医学の面から、心身症として取り扱うべきものであると理解されています。

胃下垂症・胃アトニーの病態と原因

 胃下垂症とは、胃が極端に垂れ下がった状態で、なんらかの症状を訴える場合をいいます。胃下垂症は、しばしば胃アトニーをともないます。胃アトニーとは、無緊張胃(胃無力症)ともいわれ、胃筋肉の緊張が著しく低下し、胃の動きが弱くなった状態をいいます。しかし、集団検診などで胃下垂や胃アトニーが認められても、自覚症状を全く訴えない症例もすくなくありません。

 胃下垂症は、決して胃のみ下垂しているのではなく、腸や腎臓など腹部の他の臓器の下垂もともなっていることが多く、内臓下垂症の一つの部分症状ともいわれています。

 胃下垂症の中には、後天的な原因によって胃が下垂したために症状が現れる例があります。例えば、妊娠・分娩の繰り返しや大量の腹水の排除、巨大な腹腔内腫瘤の手術的除去などのあとにもみられるものです。これらは、広い腹腔内で支えを失った腹部の臓器が、みずからの重量で急速に下垂するために症状が生じるものです。

 前述のように、胃下垂症は胃アトニーを合併することが多いのですが、胃アトニーが加わるといろいろな症状が現れやすくなります。胃アトニーは、胃の筋肉の緊張低下と運動機能の低下によるもので、食物の消化力が衰え、健康な胃よりも食物が長く胃に停滞し、症状が現れます。 

 主要な症状は、胃・下腹部の膨満感、胃のもたれや重圧感、げっぷ、胃痛、悪心、嘔吐などで、全身症状としては、便通異状(便秘)、全身倦怠感、無気力、肩こり、めまい、頭痛、頭重感、不眠、動悸、息切れ、背中痛、腰から足にかけての冷えなどがあります。

 胃下垂症、胃アトニーは、やせ型の体型で無力性体質の人に多くみられます。この体型の人は、胃下垂症になりやすい先天的な準備状態にあるといえます。また、この病気の人には、もともと神経質な人が多いことも特徴です。面接や性格検査などの心身医学的な検査から胃下垂症の起こり方をみると、心理的なストレスや暴飲暴食などで生じた胃腸症状を気にしすぎて不安感を抱き、症状が固定(継続)するという、悪循環によるものが多いようです。

 また、胃のレントゲン検査を受けた際に、医師から「胃が下がっている」といわれたために、その後に現れた生理的な腹部の症状も「胃が下がっているせい」と思い込み、その思い込みが治りにくい胃腸症状を生み出しているという例も少なくありません。

 さらに、胃下垂とみられる例の中には、仮面うつ病(身体症状が現れてうつ状態が表に出ないうつ病)によるものもあります。

(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著

胃が下垂していたらよくないの?

馬込沢うえだ鍼灸院

kiichiro2
  • 船橋市馬込沢で鍼灸院・光線療法院をやってます。
    慢性疾患をよくするためには、
    自己のもつ治癒力を高めることが非常に重要です。
    このブログでは主に光線療法について、
    日光を浴びることの重要性について綴っていきます。

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