他疾患に合併する胃潰瘍 3
他疾患にともなう胃潰瘍 3
5)糖尿病にともなう胃潰瘍
糖尿病には種々の合併症があります。中でもよくみられる自律神経の障害は、粘液分泌の減少、胃運動機能障害・胃粘膜循環障害を引き起こして、胃潰瘍を発生させます。
6)肝硬変にともなう胃潰瘍
肝機能障害と門脈圧亢進症状により胃粘膜の血流が減少して、胃潰瘍が発生します。肝硬変の進行によって胃潰瘍の発生率はさらに高くなります。
7)慢性腎不全にともなう胃潰瘍
腎機能の低下にともない、胃粘膜の血流の低下・粘液産生の減少・胃運動機能障害によって胃潰瘍が発生します。慢性透析患者では、腹痛、出血をともなう胃・十二指腸消化管粘膜病変が少なくありません。
8)膠原病にともなう胃潰瘍
膠原病の治療に使われる鎮痛剤、副腎皮質ホルモンによる胃潰瘍の発生が多くみられます、また、膠原病は全身性の血管障害をともないますので、胃粘膜の微小血管の血液循環にも影響を与え、これが胃潰瘍の発生につながります。
※膠原病:膠(にかわ)は、ねばりつく、動物の皮や骨などを水で煮詰めたもの、接着剤として用いるなどの意味をもつ漢字。膠原病とは、細胞と細胞を結合させるにかわ(コラーゲン)が炎症を起こすことで生じる病気のこと。
9)血液疾患にともなう胃潰瘍
膠原病と同様に、血液疾患の治療に使われる副腎皮質ホルモンによる胃潰瘍の発生が多くみられます。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著