更年期障害 1
更年期とは「女性の生殖期(性成熟期)から非生殖期(老年期)への移行期」とされ、卵巣機能が減退し始め、消失するまでの時期をいいます。一般的に閉経前後の5年間の合計で10年間、おおよそ42~55歳くらいまでといわれています。
この時期に、のぼせ・ほてり(ホットフラッシュ)・めまい・肩こり・頭痛・だるさ・不眠・冷え症などといった身体的な症状や、気持ちの落ち込み・やる気のなさ・不安・憂鬱などといった精神的な症状があり、ほかの検査を行っても特に異常がみられません。これらの症状がひどくなり、日常生活に支障をきたす状態を更年期障害といいます。
なぜ更年期障害が起こるのか
女性の内分泌、自律神経、情動(感情)の各系は、それぞれが関連しあいながら、調和が保たれています。老化による卵巣から卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌低下に、環境の変化、心理的ストレスが影響し、その調和が乱れ、各系に関係する不定愁訴(症状)を自覚するようになります。
更年期障害は、卵胞ホルモンの分泌が低下していく時期に起こりますが、このホルモンの不足だけが不定愁訴を生じさせるわけではありません。内分泌の中枢である視床下は自律神経の中枢でもあります。内分泌の変化が自律神経を乱れさせ種々の症状を生じさせます。症状の程度は個人差があり、気質や性格によっても大きく変わります。
<更年期障害の成>
・老化による容貌・容姿の変化(女性らしさの消失感)
・成長した子供の離反
・夫との死別や定年問題
・近親者、友人などの喪失体験
・社会や家庭での疎外感、孤独感
・ガンや生活習慣病による不安
・夫婦間の葛藤
更年期障害が重い人
更年期障害が重い人にみられる体質として、冷え症、神経質、完璧主義、内向的、趣味がない、一途といった傾向があり、胃下垂、内臓下垂などの特徴もみられます。
心因性更年期障害
心因的原因が強く働いて起こるものを、心因性更年期障害といいます。更年期になった女性は、性機能を喪失してしまったと感じて、女性としての価値や生きるための心の支えを失い、不安や緊張が絶えず働き、これがからだを緊張させて更年期特有の症状を生じさせます。
更年期障害の光線治療
更年期障害の治療は、その障害の起こり方から明らかなように、鍼灸や光線療法など治療方法はどのようなものであっても、自律神経系を安定させることが第一です。
自律神経失調症は、血流の減少を招き、皮膚温の低下から冷え症につながります。更年期障害の多くは、冷え症をともなうので、からだをいつも温かい状態になるようにしておくことが大切です。これはカイロなどでからだの外部から常に熱を加えるということだけではなく、自らの力で熱を産生できるようにするということです。光線療法を継続的に活用し体調を調えることが、冷え症やその他の不定愁訴を軽減されていくことになります。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著