合併症をともなう妊娠・出産 1
妊娠の合併症には、以下のようなものがあります。
内科疾患:糖尿病、高血圧症、肝障害、感染症、貧血など
外科疾患:虫垂炎、痔核、下肢静脈瘤、腰痛など
合併症の状態によっては、妊娠しない方がよい場合や妊娠中絶をしなければならない場合もあります。また、妊娠中に合併する疾患を処置しなければならないこともあります。妊娠・出産に関しては、医療機関でも全身的なチェックと厳重な管理が重要です。全身的に治療する可視総合光線療法は、種々の合併症並びに妊娠の双方に対処できる利点があり、治療の継続は、妊娠継続と安産につながります。
●肝臓病をともなう妊娠
妊娠は、肝臓に大きな負担となります。肝機能の数値は、正常妊娠でも異常となることがあります。特に妊娠後期に数値が上昇し、分娩後にすみやかに正常値に戻ります。慢性肝炎を有する妊娠では、肝障害の程度により妊娠継続が決定されることになります。
●坐骨神経痛をともなう妊娠
妊娠によって増加するホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)が関節の靭帯を弱く(弛緩)します。また、妊娠により子宮が大きくなってからだの重心が前方へ移動するため、これを補正しようと脊椎に無理な力が加わります。これらと骨盤内臓器の著しいうっ血状態などが相まって、腰痛や坐骨神経痛を引き起こします。また、妊娠は妊娠前からある症状を悪化させる要因になります。
●子宮筋腫をともなう妊娠
子宮筋腫をともなう妊娠は、晩婚や高齢出産傾向が多くなったため増加しています。子宮筋腫は、不妊症の要因となるだけでなく、妊娠時には流産、早産、疼痛(痛み)、出血、貧血。胎児発育障害、分娩時通過障害などを起こすおそれがあります。子宮筋腫が妊娠の継続を障害する可能性が高い場合は、早期に手術が必要となり、分娩時には帝王切開になることが多くあります。
●前置胎盤をともなう妊娠
前置胎盤は、胎盤が子宮口に近い場所や子宮口をふさいで付着しているため、妊娠後期や分娩時に胎盤がはがれて子宮壁から出血を起こします。出血が多い場合は帝王切開が必要となります。
【治験例 1】
■前置胎盤をともなう妊娠
◆30歳/女性/初産
◆症状の経過:妊娠3ヵ月に入ったところで出血があり、入院検査で前置胎盤の診断を受けた。このような状態での出産に不安を感じ、退院後より光線治療を始めた。
◆光線治療:3001-5000番の治療用カーボンを使用し、両足裏部、両膝部各10分間、腹部、左右下腹部各5分間、陰部、10分間、背正中部、後頭部各5分間照射。
◆治療経過:光線治療開始1ヵ月後の妊娠4ヵ月検診の結果、胎盤は上方に上がっており、出血跡が血種になっていた。治療2ヵ月後の5ヵ月後検診で、胎盤の位置は普通よりも低いが出血もなく、前回みられた血種は吸収されていた。胎盤の不安がなくなり、つわりもひどくならず、予定日に自然分娩によって無事に女児を出産した。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著