夜間頻尿 1
夜間頻尿とは、夜間の睡眠中に排尿のために1回以上起きる状態とされています。次の日の活動時間帯に支障をきたさないのであれば問題ないという考え方もありますが、夜間頻尿が改善されると眠りが深くなり、結果的に他の症状が改善されるなど、体調がよくなります。
夜間頻尿の原因としては、水分の過剰摂取、冷え症、不眠症、前立腺の病気、腎機能低下、膀胱蓄尿障害、糖尿病、心不全、神経因性膀胱、薬剤によるものなどがあります。また特別な病気はなくとも加齢にともない、尿量を調整するホルモン(抗利尿ホルモン)の分泌が減少することで夜間の尿量は増量します。
●前立腺肥大症、慢性前立腺炎
前立腺の肥大や炎症が刺激となって夜間頻尿を生じます。前立腺の疾患では、排尿回数が多くても、1回の排尿回数は少ないの普通です。回数、量ともに多い場合は、腎臓病や心臓病の疑いがあります。
●腎機能低下
腎臓でつくられる尿の約99%は体内で再吸収、再利用されます。健康であれば、就寝中腎臓の働きが休止し、尿はあまりつくられません。しかし、腎機能が低下すると、昼間の尿の生産だけは不十分で夜間にも尿をつくり続けるため夜間頻尿となります。
●膀胱畜尿障害
膀胱が過敏になり尿を溜めておける量が減り、少しの蓄尿でも尿意をもよおすようになります。夜間だけでなく、日中トイレが近くなるのが一般的です。
●心臓機能の低下
老化、動脈硬化、高血圧などで心臓の働きが悪くなると、腎臓に血液を十分に送ることができず、その結果腎臓の働きも悪くなってしまいます。とくに活動量の多い日中は他の部分で血液が使われるため、腎臓に送られる血液はいっそう少なくなります。就寝中でからだを横にすると腎臓に送られる血液量が増加し、腎臓の働きが活発になって尿量が増加し夜間頻尿となります。
●神経因性膀胱
膀胱を正常に働かせるための中枢神経や自律神経の障害によって、頻尿や排尿困難、失禁の状態になります。このような異常は脳血管障害、骨盤内臓器の手術後、椎間板ヘルニア、腰椎圧迫骨折などでも起こります。
●冷え症
冷えはからだのすべての機能を低下させる可能性があります。また体外へ水分を排出させるにあたって、発汗量が減ると尿量が増加します。
●夜間頻尿の予防
暴飲暴食(水分の過剰摂取)、睡眠不足、運動不足に気をつけ、からだを冷やさないようにしましょう。鍼灸や光線治療は夜間頻尿を緩和させることにも用いられています。
【治験例 1】
■糖尿病・夜間頻尿
◆60歳/女性
◆症状の経過:57歳のとき検診で糖尿病(血糖値260mg/dl)を指摘され投薬を受けていた。薬で血糖値をコントロールしていたが、130~150mg/dlでまだ高めであった。夕方になると両足がむくみ、毎晩2~3回の夜間頻尿があった。
◆光線治療:1000-3001番の治療用カーボンを使用し、両足裏部、両膝部、腹部、腰部各10分間、両足首部5分間(以上集光器使用せず)、背正中部、後頭部各5分間(以上1号集光器使用)照射。
◆治療経過:光線治療開始後、足が温まって足のむくみが少なくなった。夜間にトイレに起きることがなくなり熟睡できるようになった。血糖値は治療1年後には、90~110mg/dlぐらいで安定するようになった。また、グリコヘモグロビン値(HbA1c)も光線治療前12%から6.8%に低下し改善がみられた。
※ HbA1c :過去約1ヵ月前の血糖値の状態を反映する検査項目。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著