褥瘡(床ずれ) 1
褥瘡とは長期間の寝たきりなど、からだの重みによって圧迫された部分の皮膚が血行障害を起こしてしまうことで起こる局所の皮膚病変です。一般的には「床ずれ」と呼ばれます。お尻、腰骨周囲、背中、踵、など圧迫されやすい場所に多く、進行すると組織が壊死し、潰瘍や細菌感染を生じる場合もあります。
褥瘡を予防するためには、ベッドやシーツなどの環境を清潔に保つことはもちろん、早期の段階から他の者が2~3時間おきに患者の体位を変えて上げることが必要です。褥瘡は予防とともに治療していくことが重要で、光線治療は非常に期待のできる治療法です。
【治験例 1】
■床ずれ(褥瘡)
◆85歳/女性
◆症状の経過:日常生活の中でめまいが頻回に見られていた。歩行時にふらつきと頭重感が続いたため病院でけさをけたところ脳梗塞と診断された。動脈硬化も進み、小さい血栓が10カ所ほどみられたが、高齢のためできるだけ安静にして様子をみることとなった。病院の薬を服用していたが、しだいに床に着いていることが多くなった。2ヵ月後に仙骨部に床ずれが現れ、しだいに大きくなった。筋力が低下し、ほとんど歩行困難な状態で寝たきり状態となった。床ずれ部には強い痛みがあった。
◆光線治療:3001-4008番の治療用カーボンを使用し、両足裏部、両足首部、両膝部(各10分間)、腹部、腰部、後(各5分間)頭部、床ずれ患部(15~20分間)を照射。患部への照射は当初1ヵ月間は距離をとり、遠めから照射した。
◆治療経過:治療1ヵ月後には頭重感が緩和してきた。床ずれの傷も乾き、痛みも少しずつ軽くなり範囲も縮小した。治療開始2ヵ月後には、皮膚に赤みが残っていた。床ずれ部はふさがり、痛みの訴えもなくなった。治療3ヵ月後には床ずれはすっかり回復した。病院の検査で脳梗塞も半分くらいに改善していると診断された。床に着いている時間がたいへん少なくなり、食事も進み床から出ることもできるようになり、めまいと歩行時のふらつきも以前に比べ軽くなり、足取りもしっかりしてきた。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著