病気と粘膜
粘液、粘膜が多く存在する部位には、眼、口腔、鼻・気道、消化管、胆嚢、泌尿器、膣・子宮、肛門などがあり、それぞれ病気と深く関わります。
●眼粘膜
眼球や眼の粘膜は、外界の異物から守るために涙液で覆われています。涙が少なくなることそれだけに留まらず、それに由来する目の異常をきたしやすくなります。眼の粘膜に関係する病気には、結膜炎、アレルギー性結膜炎、角膜炎などがあります。
●口腔粘膜
口腔粘膜は、唾液の殺菌作用や正常な微生物によって保護されています。加齢による唾液の減少や抗生物質・ステロイド剤の使用が口腔内の環境を乱すことで、口腔内粘膜の抵抗力が低下し感染しやすくなります。
●鼻・気道粘膜
鼻腔の粘膜や鼻毛は、細菌、ウィルス、種々の異物の侵入を防ぐよう働いています。疲れなどによって免疫力が低下したときなど、アレルギー疾患の症状が多く表れやすい場所です。
●消化管粘膜
口腔から始まり、食道、胃、十二指腸、直腸、肛門までの消化管はすべて粘膜で覆われ、粘液によって保護されています。口から侵入した異物の多くは、強い殺菌作用をもつ胃液によって死滅します。腸管内も腸粘膜や腸内細菌の働きにより異物の侵入を防ぐとともに、腸管そのものも守られています。これら消化管粘膜の病態には、胃炎、胃潰瘍、腸炎といったものがあり、その発症は、過労、ストレス、冷え症といったものの影響を強く受けます。
●胆嚢粘膜
胆嚢は肝臓でつくられた胆汁を蓄えておく消化器官の一つで、脂肪やタンパク質の分解に関わります。その内腔は粘膜で保護されていて、胆石蓄積などにより粘膜が炎症を起こします。
●泌尿器粘膜
排尿には、尿路感染の予防といった働きもあります。泌尿器粘液のトラブルとして尿道炎があります。
●膣・子宮粘膜
膣内は、乳酸菌によって常に酸性に保たれ、微生物の侵入増殖を防いでいます。しかし閉経、冷えにより乳酸菌が減少し感染しやすくなります。また、冷えは、子宮粘膜や卵巣粘膜に悪影響を及ぼし、臓器機能を低下させ、月経不順、月経痛、不妊症などの要因となります。
●肛門粘膜
痔によって、肛門周囲の粘膜が傷つきやすくなります。粘膜の状態を良好にしつつ、便秘の人はその解消に努める必要があります。
(財)光線研究所 (「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著)