光化学作用(ビタミンD産生)
光線(紫外線)が皮膚に当たることで皮膚下で、種々の新しい物質(生理活性物質)がつくられます。例えば、紫外線照射によって皮膚内に存在するデヒドロコレステロールがビタミンDに変化します。紫外線不足はビタミンDを不足させ、クル病、骨粗鬆症、変形性関節炎などの大きな要因となることは周知のとおりです。また、紫外線の不足は、糖尿病、免疫力低下、うつ病、動脈硬化等とも関係していることが指摘されています。
紫外線により皮下でつくられる物質として、ビタミンD3、ヒスタミン、ブラジキニン、キニン、プロスタグランジンなどがあります。
これらの物質は痛みなどの炎症を引き起こします。そのようなものはないほうがいいのではないかと短絡的に考えてしまいそうですが、そうではありません。紫外線を浴びすぎることは問題ですが、必要量は確保しなければなりません。これらの物質の働きにより、外傷や毒素などで起きたからだの異変を、正常な状態の戻すための生理的な現象が速やかに行われるのです。
ビタミンDは、紫外線が肌にあたることで産生、肝臓や腎臓で代謝され、カルシウムの吸収などを行う活性型となります。このビタミンDの産生のための生体に自然に備わっている力は、薬などの人工的なもので代償できるものではありません。
潜水艦の乗組員を対象に行われた実験では、食物や薬によってビタミンDを補充しようとしても、太陽光を浴びなければ、体内のカルシウム量は減少してしまうという結果がでたそうです。