良性発作性頭位めまい証に対する可視総合光線療法

一般財団法人 光線研究所 研究員 柿沼規之

ある日突然、めまいに襲われたら誰しも不安を感じることと思います。めまいの原因は、大きく分けて「耳」「脳」「ストレスなどの心因性」からくるものがあげられます。

 今回は耳の内耳の異常によるめまいとして多い、「良性発作性頭位めまい症」の解説、文献とともに本疾患に対して可視総合光線療法で効果がみられた症例を紹介します。

 耳の奥の内耳には「聴覚」「平衡感覚」の情報を脳に送るという働きがあります。内耳の中には耳石と呼ばれる炭酸カルシウムの結晶が存在し、頭の傾きに応じて耳石が動くことで「傾いている」という信号が脳に送られます。この耳石が何かの拍子で三半規管の中に剥がれ落ち入り込んでしまうことで、頭を少し動かしただけで回転したような刺激の情報が誤って脳に伝わってしまうのが、良性発作性頭位めまい症です。耳石がなぜ剥がれ落ちるのかは不明ですが、長時間の寝たきりや同一姿勢を続けると起こりやすいようです。閉経後の女性に多く発症することから年齢に伴いカルシウム代謝が変化して耳石が剥がれ落ちやすくなるという説もあります。

 主な症状は目が回る回転性のめまいで、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。めまいが生じやすいのは、寝ている状態から起き上がった時、急に後ろを振り向いた時など頭を動かしたときです。めまいは数分間ほどで治まります。良性の疾患ですが再発しやすく、多くの患者さんが動作時に不安を覚えるの日常生活に支障をきたします。

 2013年12月から2017年5月まで韓国の8ヵ所の大学病院における良性発作性頭位めまい症患者1050人について介入群は血液検査拒否の18人以外の500人、対照群532人に分けて比較した。介入群の中で血中ビタミンD濃度20ng/ml以上の群152人、未満の群348人に分けて、20ng/ml未満の群にはビタミンD800IUとカルシウム1000㎎を投与した。平均1年間の観察期間において年間再発率は対照群の1.10に比べ、介入群では0.83と有意に減少を認めた。血中ビタミンD濃度は介入群では13.3ng/mlから24.2ng/mlに上昇を認め、QOLは介入群で著名に改善した。 

 以上の結果からビタミンDとカルシウム補充によって良性発作性頭位めまい症の再発率は減少することが示唆された。

 光線療法は光と熱エネルギーを体に補給し全身の血行状態を良好にして新陳代謝を高めることで病状の改善を図ります。カルシウム代謝異常で発症しやすい背景や前述の研究結果から光線療法を行い体内でのビタミンD産生を促すことは本疾患の発症、再発予防に有効と考えられます。また長期間の寝たきりや長時間の同一姿勢、運動不足などにより発症しやすくなるので、光線療法とともに体を積極的に動かすことも大切と思われます。

※耳石以外が原因のめまいもあるので、自己判断はせずに必ず病院を受診してください。

3002-5000番、1000-3002番、1000-4002番などを使用。

両足裏部⑦・両足首部①・両膝部②(以上集光器使用せず)、後頭部③(1号集光器使用)、左右耳部⑰⑱(2号集光器使用)を照射。照射時間は各5~10分間。

光線研究 第645号 令和6年8月1日発行 一般財団法人 光線研究所

kiichiro2
  • 船橋市馬込沢で鍼灸院・光線療法院をやってます。
    慢性疾患をよくするためには、
    自己のもつ治癒力を高めることが非常に重要です。
    このブログでは主に光線療法について、
    日光を浴びることの重要性について綴っていきます。

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