すこやかな妊娠と出産をサポートする可視総合光線療法

   

 妊娠・出産は女性にとって、とても大切なことですが、出産年齢の高齢化が進む現代社会では、より大変だと実感している方が多いと思います。身体の諸機能が正常でなければ妊娠、出産は乗り越えることは容易ではありません。可視総合光線療法は、身体にとって心地良い光と熱エネルギーを補給して、全身のバランスを整えます。結果、妊娠しやすい身体づくり、安定した妊娠継続と出産をサポートし、母子ともに健康な状態を維持するのに大変有効な治療法となります。

 今回は妊娠、出産の症例報告とビタミンDの関連文献を紹介します。

■晩婚化と晩産化

 わが国の合計特殊出生率(15~49歳までの女性1人が生涯に生む子どもの数)は2020年に1.34人で5年連続で低下し、昨今の新型コロナ禍の影響で今後さらに低下の可能性が考えられます。女性の平均初婚年齢は1980年に25.2歳でしたが201年には29.6歳。そして出産時平均年齢も2003年に第2子が30.7歳と12年間で1人分の差が生じており、晩婚化と晩産化が同時に進んでいます。

■プレコンセプションケア

 近年、妊活前から男女共に健康の維持・改善をしておく「プレコンセプションケア」という新しい概念が出てきました。コンセプション(Comception)は受胎することをいいます。プレコンセプションケアは、女性やパートナーが将来の妊娠を考えながら健康になること、元気な赤ちゃんを受胎するチャンスを増やすこと、さらに将来の家族がより健康な生活を送れることを目指すことです。妊娠可能年齢のすべての女性にとりわけ大切なケアです。可視総合光線療法は、プレコンセプションケアを支援できる有効な治療法になると考えます。

■誰もが目指したい「安産」

 妊婦さんが、安産を願う気持ちは自然なものです。実は「安産」という言葉は医学用語ではありません。一般的には短時間で痛くない出産を想像しますが、経過として正常から外れたプロセスでも妊婦さん自身が良いお産だったと感じたら、それは安産と考えていいようです。

 日本女性を対象にした冷え症と前期破水の因果関係を調査した研究では、冷え症の人が前期破水を起こした人数は、冷え症出ない人に比べて1.69倍高く前期破水と冷え症に因果関係があることから、安坐だったと考える妊婦さんの特徴のひとつに「自覚的に冷え症ではない」ことが挙げられます。可視総合光線療法では日頃より身体を温める生活習慣を心がけることは安産への近道といえます。

※前期破水:分娩が始まり子宮口が開ききったときに起こるの適時破水ですが、妊娠中に子宮内の感染や子宮内圧の上昇により引き起こされる破水が前期破水です。

■ビタミンD充足群と未充足群では出生率・着床率・妊娠率・流産率に差がみられ生殖補助医療の治療結果に関連(英国の研究2019年)

 生殖補助医療の体外受精を受けた女性500名に血中ビタミンD濃度を調査し、血中ビタミンD濃度20㎍/㎖未満を欠乏群、21~29㎍/㎖を不足群、30㎍/㎖以上を充足群と3群に分け臨床成績を比較した。対象者の割合は、欠乏群53.2%と不足群30.8%を合わせた全体の84%に上り、ビタミンD充足群はわずか16%と少ない状況であった。出生率で比較するとビタミンD欠乏群、不足群、充足群でそれぞれ23.2%、27.0%、37.7%とという結果だった。着床率や妊娠率に関しても同様にビタミンD充足群がそれぞれ最も高い成績(48.1%、41.6%)示し、3群間で統計的に有意な差がみられた。また子宮内膜からはビタミンD受容体とその活性酵素が発見されている。これらのことから受精卵の着床にはビタミンDが重要な役割を果たしていると考えられる。さらに流産率も充足群が最も低い結果となり、血中4ビタミンD濃度の状態と妊娠および出産の可能性との間に関連性がみられた。

■新生児におけるビタミンD欠乏の頻度と予後(日本の研究2008年)

 ビタミンD欠乏の指標として新生児の産科退院時の頭蓋ろう(頭蓋骨を指で押すとピンポン球のようにへこむ状態)に注目した。京都市内の産婦人科病院で1年間に出生し正常と考えられた1120人を対象に頭蓋ろうの有無を生後5~7日目に検査したところ22%の246人に頭蓋ろうが認められた。1年間を通しての発症率では明らかな季節変動があり、4~5月出生時に最も頻度が高く、11月出生児で最も低頻度だった。これはビタミンD欠乏による他の症状と同様に在胎中の日照時間による季節変動で、正常新生児の頭蓋ろうは、在胎中のビタミンD欠乏症に関連すると考えられる。

■可視総合光線療法

 近年、当付属診療所(光線研究所付属診療所)を受診し、妊娠出産までの経過が確認できた25症例のうち、15例の60%の方が「安産」と感じていました。本療法で血行状態が良好になり冷えが改善されたこと、さらに自律神経を整えリラックス効果により緊張をほぐし妊娠継続や出産に対する不安をやわらげたことも安産に寄与したと考えられます。また本療法で体内のビタミンD産生を促すことは、妊娠しやすい身体づくり、妊婦や生まれてくる赤ちゃんの体調維持や出産後の健康管理に効果的です。妊婦のビタミンD欠乏は胎児のビタミンD欠乏につながると考えられビタミンD欠乏は新生児の成長に関係するため不足しないように注意が必要です。

 本療法は安定した妊娠継続と出産をサポートし母子ともに健康な状態を維持するのに大変有意義な治療法となり得ます。

◆治療用カーボン:3001-5000番、3001-4008番などを使用。

◆照射部位・照射時間:両足裏部⑦・両足首部①・両膝部②・腹部⑤・腰部⑥(以上集光器使用せず)、後頭部③(1号集光器使用)、左右咽喉部④(2号集光器使用)。腹部⑤のかわりに左右下腹部㉓㉔(1号集光器使用)の照射、または慣れて疲れなければ⑤㉓㉔を照射する場合もある。照射時間は各5~10分間。腹部照射で、好感がない場合や不安感が強い場合は腹部の照射は中止してもよい。

 一般社団法人 光線研究所

    研究員  柿沼規之

 所長 医学博士 黒田一明

「光線研究」第632号 令和4年6月1日発行 発行所 一般財団法人 光線研究所

kiichiro2
  • 船橋市馬込沢で鍼灸院・光線療法院をやってます。
    慢性疾患をよくするためには、
    自己のもつ治癒力を高めることが非常に重要です。
    このブログでは主に光線療法について、
    日光を浴びることの重要性について綴っていきます。

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