アトピー性皮膚炎と光線治療 2
●アトピー性皮膚炎が増加した2つの要因
杏林大学皮膚科・塩原哲夫教授は、近年、アトピー性皮膚炎が増加した大きな要因として、次の2つを挙げている。
ひとつは「自然免疫の関与」で、とくに先進国でのアトピー性皮膚炎増加の理由として「清潔免疫」が注目されている。これはおもに疫学調査により提唱された仮説で、乳幼児期における細菌・ウイルス感染機会の減少が細胞性免疫の発達を阻害しているというもので、屋外で日光に当たる機会の減少も同様の誘因になっていると思われる。
もうひとつ、白血球などの自然免疫担当細胞の機能を阻害する要因として「非ステロイド鎮痛薬の使用」がある。アトピー性皮膚炎の湿疹病変に対する非ステロイド鎮痛薬の使用は無効であるだけでなく、著明な憎悪をきたすことへの認識が低かったために、近年医療の臨床で、治療薬として広く用いらたことが大きな影を落としている。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・治療報告と症例集」黒田一明著