生体リズムの調節と可視総合光線療法 1

一般財団法人光線研究所

研究員 新井 悠介

所 長 黒田 一明

 私たちの体には「体内時計」があり、昼夜の変化に合わせ体内環境を変動させる「生体リズム」が生み出されています。睡眠-覚醒のリズムだけでなく、夜間に体温や血圧が低くなり、朝から昼にかけて高くなるという体の仕組みも生体リズムによります。生体リズムの調節は、健康を維持していく上で欠かせない免疫力や内分泌、自律神経制御と密接な関係にあります。今回は、可視総合光線療法が生体リズムに働きかけ、疾病改善に寄与した症例を紹介します。

 体内時計は、脳にある「中枢時計と」、各々の細胞にある「抹消時計」が支配しています。各々の時計が、体温調節、細胞分裂、睡眠、免疫といった様々な活動と休息のリズムを刻みます。体内時計にいは秒単位のものや年単位のものまだ様々な種類があります。とりわけ生活習慣や健康との関わりが深いのが約24時間周期の概日リズムです。約24時間周期というのは地球の自転リズムによりますが、人間体内時計周期はそれより1時間程長い約25時間と言われています。この1時間のずれをセットするために欠かせないのが朝日です。朝の日差しに含まれる青色のスペクトルが体内時計の針を進め、24時間周期に合わせる働きがあります。近年の研究では、眼だけでなく皮膚や脳など全身の細胞にも体内時計を調節する働きがることがわかっています。

 現代社会では、本来休息すべき時間帯の夕方から深夜にかけても、人工照明やスマホやパソコンの液晶画面のブルーライトなどの強い光を浴びる機会が増えています。これらの光を夜も浴びることで、体内時計は1時間、2時間と後ろにずれてゆきます。さらに食事時間が日によりまちまちだったり、睡眠不足や運動不足が続いたりすることも生体リズムを乱す大きな要因の一つです。こうした状態が続きますと、健康面にもさまざまな悪影響が現れます。

 生体免疫防御の第一線として機能する骨髄系細胞においては、時計遺伝子の発現が、自己免疫およぼ獲得免疫応答を制御する。骨髄系細胞から時計遺伝子を欠乏させたマウスでは、炎症が更新し、自己免疫異常の誘発に対する感受性が高まることが実証された。実際に人において、交代勤務者、頻繁に飛行機を利用する人、概日リズムの乱れのリスクが高い人は、慢性炎症性疾患のリスクが高まります。また、自然免疫の主軸であるマクロファージの分子時計が炎症反応の遺伝子的制御に大きな影響を与えているという結果も出ています。これらの知見を総合すると、生体免疫の最前線を担う骨髄系細胞における時計遺伝子の発現と機能的分子時計は、生体リズムを調整し、全身の炎症誘発性の低い環境をもたらすことに関連していることになります。

光線研究 第645号 令和6年8月1日発行 一般財団法人 光線研究所

kiichiro2
  • 船橋市馬込沢で鍼灸院・光線療法院をやってます。
    慢性疾患をよくするためには、
    自己のもつ治癒力を高めることが非常に重要です。
    このブログでは主に光線療法について、
    日光を浴びることの重要性について綴っていきます。

光線療法免疫

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