長寿社会のQOLと筋骨格系
わが国における有訴率の第1位は腰痛、第2位は肩こり、第3位は手足関節の痛みであり、欧米では休業理由の第2位が腰痛だといわれている。
また、高齢者の骨粗鬆症に関連する骨折は、過去10年間にわが国では約1.7倍。欧米では約2倍に増加している。高齢者が近年長くなった寿命を心身に障害のない状態ですごすには、これら筋骨格系障害があると日常生活に大きな支障を与えるので、その予防と対策が重要となる。
少し古いデータだが、1995年の調査(平成12年版厚生白書)によれば、75歳男性の平均余命は9.81年(そのうち、寝たきりや認知症などになることなく、健康で自立した生活を送ることができる健康寿命=自立期間は8.23歳)、75歳女性では平均寿命12.9年(自立期間10.20年)と推計されている。ちなみに、2007年の平均余命は75歳男性が14.80年、75歳女性が15.16年と延びており、長寿生活のQOL(生活の質、心身の尊厳を維持する)という観点からも、ますます自立期間の重要性が注目されている。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・治療報告と症例集」黒田一明著